日本の真珠産業、衰退ぶり鮮明(WSJ日本版から引用)

衰退していくものを復活させる革新的な何かを創れるか否か、ということか。

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かつては日本にとって外貨獲得の柱とされた真珠産業は、国内生産の衰退傾向に歯止めがかからず、輸入に依存する傾向が鮮明になっている。貿易統計(数量ベース)をベースに作成した農中総研のデータによると、2000年に年間27トンだった輸出量は2010年に21トンに減少した。輸出品目のうち、特に製品輸出の割合が半分以下に落ち込み、国内生産量も20トンを割り込むなどこの10年間で最低となった。一方、輸入は2008年の50トンから4年連続で増加し、11年は60トン台に乗せた。

90年代以降は、色にバリエーションがある南洋産真珠などへの注目が高まり、アコヤ真珠を中心とする国産品への人気に陰りが見え始めた。ウィルス感染によるアコヤガイが大量斃死(へいし)なども国内の真珠産業衰退に追い打ちをかけた。また南洋真珠の生産地との輸送距離が近いことなどで香港にアジアの流通拠点を奪われた。

「真珠養殖技術の開発以来100年あまりの長きにわたって養殖真珠の主たる供給国として世界に君臨してきたが、今や輸入国へと変貌を遂げた」と農中総研・専任研究員の出村雅晴氏は10日付のリポートで指摘している。

日本では戦後、1952年に事業促進を図った「真珠養殖事業法」に後押しされ飛躍的な拡大で輸出を伸ばした。米ハリウッド女優だったマリリン・モンローも1954年にハネムーンで来日した際、ミキモトブランドの真珠のネックレスが贈られたこともあった。

「中国産の別の種類の安い真珠が出回り、価格競争に巻き込まれた」(日本真珠振興会)ことや1998年の「真珠養殖事業法」の廃止も衰退の大きな要因だ。真珠の重さを量る「匁(もんめ)」は、国際単位「momme」(3.75グラム)として今なおが採用されているが、日本の輸出産業として栄華を誇った名残だ。

業界では若い世代に真珠の魅力などをアピールするなど巻き返しに躍起だが、農中総研の出村氏は「生産技術を含め、あらためてその生産体制のあり方が問われている」とかなり根本的な問題を指摘している。

記者: 吉池 威

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