キプロスへの「核攻撃」で壊滅する金融業-国を道連れに崩壊か (Bloomberg.co.jpから引用)

インフレにしなくても、預金に課税して奪う、という方法もある。どっちがスマートか。

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3月29日(ブルームバーグ):キプロスの首都ニコシアに住む法律家、イオナ・コンスタンティヌさん(24)は、バンクホリデー(銀行休業)が始まった16日の朝、ロンドンで週末を過ごすために早起きして荷物を準備していた。

ノートパソコンを開いてフェイスブックにログオンし、「人々が叫びリンクが投稿される様子を見て、何が起きているのかと驚いた」と彼女は振り返る。

キプロス救済合意の一部として、国内の銀行預金への課税に指導者らが同意したというニュースを知ると、コンスタンティヌさんの計画は吹き飛んだ。法律家のボーイフレンド、シモス・アンゲリデスさん(35)と彼女はフライトをすぐにキャンセルし、預金が口座から消えてしまわないか確認するために銀行の再開を待った。しかし、窓口がようやく開くのは28日になってからのことだ。

キプロス国民は皆、金融システムが国を道連れに崩壊に向かっているのではないかと不安に襲われたが、この2人も例外ではなかった。アンゲリデスさんは「核爆弾が落ちたようだった。放射能の中で何とか生きている状況だ」と話す。

キプロスのアナスタシアディス大統領は、欧州連合(EU)と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金IMF)から100億ユーロ(約1兆2000億円)の支援を得る条件として、国内2位のキプロス・ポピュラー銀行の解体に同意した。10万ユーロまでの預金は保護されるが、それを上回る預金は同行では大部分が失われ、キプロス銀行についても最大40%の損失負担が求められる。

滅びゆくキプロス

地中海東部に位置する島国のキプロスにとって、今回の支援策は「救済」の名にほとんど値しない。国内総生産(GDP)の80%、雇用の72%を生み出す金融サービス業は、観光業と共にキプロス経済の屋台骨を支えているが、財政資金穴埋めのための今回の合意によって、金融業が壊滅的な打撃を受けると予想されるためだ。

アンゲリデスさんは「半年後にはほとんどが廃業か、買い手あるいは借り手募集の看板を掲げることになるだろう。キプロスは住む人もない廃墟の国になるのではないか」と不安を隠さない。

原題:Cyprus Nuclear Option Empties Local Shops as Bailout ShutBanks(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Romesh Ratnesar rratnesar@bloomberg.net

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更新日時: 2013/03/29 14:25 JST
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