竹中氏:「黒田日銀」は脱デフレ好機、財政再建失敗なら100円超円安 (Bloomberg.co.jpから引用)

アメリカに追従し落ちるところまで落ちていく、中国が尖閣を攻め取ろうが、結局、アメリカと日本のチキンレースなのかもしれない。数年後にうまくいけば、また円高に戻ってくる。上手くいかない時は、1ドル200円くらいにもでもなるのだろうか。

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2月27日(ブルームバーグ):慶應義塾大学竹中平蔵教授は、政府が日本銀行の新総裁候補に黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁を提示する見通しとなったことについて、デフレ脱却の絶好の好機として期待を示す一方、その実現には「政府にも責任がある」とした上で、財政再建が進まなければ円が暴落する可能性があるとの見方を示した。

政府は28日にも、総裁に黒田氏、副総裁に岩田規久男学習院大学教授と中曽宏日銀理事を充てる人事案を衆参両院に正式提示する。竹中氏は27日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで「長期にわたり適切でなかった金融政策が適正化される非常に大きなチャンスだ」と強い期待を表明した。

人選については「最大の妙は全員が新しい人であることだ。その方が好感度が持てる」と指摘。黒田氏については「財務省出身者の中では異色で、私たちが共感できる経済学の体系を持っている。国際機関の長をやっていたのも大きい。国際的な発信力に期待している」と述べた。

一方、安倍政権の3本の矢に関しては「1本目の大胆な金融緩和の矢は放たれた。2本目の機動的な財政政策は中長期の財政再建シナリオが示されていない。3本目の成長戦略はまだ始まったばかりで、どうなるか全く分からない」と指摘。2%の物価目標を達成する上で「困難があるとすれば、むしろ政府の構造改革が進まないことだ」と語った。

為替相場では「当面は1ドル=95円くらいまで戻っても全く不思議はない」としながらも、「3本の矢に失敗しデフレを克服できなければ、また円高に振れるだろう。しかし、逆のリスクもある」と言明。「金融を思い切って緩和し、財政も拡大したが、財政再建ができなかったということになると、今度は行き過ぎた円安に振れる可能性もある。100円を超えて相当の円安になることは十分あり得る」と述べた。

悪い円安が進む可能性も  

竹中氏は「一気にそこまで行ったら、円がフリーフォール(暴落)というイメージになってくる。これは良い円安とは言えないだろう」と指摘。「賃金は遅行指標なので、輸入物価の上昇を通じて物価の上昇が速くなると、賃金との差が開き、国民の実質生活水準を下げる。そうなると安倍内閣に対する政治的な支持を弱めることになる」と語った。

黒田ADB総裁は12日のブルームバーグのインタビューで、2年くらいで物価目標を達成するのがグローバル・スタンダードだと語った。竹中氏は「日銀にも責任があるが、政府にも責任がある。政府は財政政策で短期の需給ギャップを埋めるとともに、規制緩和等々をしっかりやり、中長期の成長力を健全に高めていく。そういう条件があって初めて、2年くらいで物価目標を達成することが可能になる」と述べた。

さらに、「政府は日銀に目標を達成しろと明確に言っており、私はそれは正しいと思うが、日銀も政府に対して、きちんと構造改革を行うべきだと言えばよい」と指摘。「日銀の仕事は基本的に、やるべきことが非常に複雑だというわけではない。だからできる。しかし、政府の規制緩和や、新しい政策を通すということは、それは複雑怪奇だ。政府の構造改革が進まないリスクの方がある」と語った。

金融政策運営については「全ての政策に共通しているが、特に金融政策はシンプルであるべきだ。これは極めて重要だ」と指摘。「日銀は何かを買ってマネーを出す。買うべきものは圧倒的に国債だ。それが一番安定している。日本は国債市場が大きいので、最も市場をゆがめない。日銀にとっても良いし、市場にとっても良い。国債を買うことが基本中の基本だ」と述べた。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net

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更新日時: 2013/02/27 14:04 JST
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