「秋解散」濃厚に、イメージ選なら「決められない政治」リスク(REUTERSから引用)

10月中ころに日本で開催されるIMF・世銀総会があるということは、その時に日本が何らかの資金供給を約束させられる可能性もあるということか。
IMF総会前に金融危機が再燃すれば、日本の国会解散など吹き飛んでしまうこともありうるのだろうか。

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[東京 13日 ロイター] 一体改革関連法が成立し、焦点だった衆院解散・総選挙時期は「秋」が濃厚になってきた。総選挙では、民主党が2009年の地滑り的勝利から大敗を喫し、自民・公明が政権を奪還する可能性が高まっている。

ただ、衆参の「ねじれ」状態は解消されず、政権運営の不安定さは続く。民主・自民幹部は選挙後の大連立を否定しているが、民主・自民・公明の3党は消費増税をめぐる修正協議で国民会議を創設して社会保障制度改革の結論を得ることで合意しており、政策ごとの部分連合が政界再編に発展するかが焦点になりそうだ。

波乱要因は既成政党批判の受け皿となる第3勢力の動き。政策より、反原発反増税のイメージ先行の選挙に終われば、「決められない政治」が続く危うさが残る。

<首相の念頭は10月解散>

民主・自民・公明の3党首が「近いうちに」との表現で合意した衆院解散時期について、9月21日の民主党代表選後に召集される臨時国会になるとの見方が強まっている。

公明党山口那津男代表は10日のインタビューで「近いうちに」の受け止めについて「年明けになるということはあり得ない」と指摘。自民党石原伸晃幹事長も12日のNHK番組で「野田首相の念頭には、10月解散があると思う」と述べた。

もっとも、石原氏は「来年度予算案を編成してから選挙になれば、選挙後に新しい政治体制になり、予算案を変更せざるをえなくなる。そんなことをやってはいけないと野田首相も理解していると思うので、解散の時期は、10月か、自民党が求めている今国会の会期末までの2つに絞られる」と述べ、今国会中の解散を求めていく考えも示した。

これに対して民主党輿石東幹事長は12日のNHK番組で「『今の国会で解散できる状況ではないのではないか』という思いが強い」と指摘。仕上げるべき課題として、特例公債法案、国会議員の定数削減や衆議院選挙の1票の格差の問題、原子力規制委員会人事をあげ、今国会中の解散は難しいとの認識を示した。
政府・民主党執行部には、10月9日から14日まで、48年ぶりに日本で開催されるIMF・世銀総会前は避けたいとの声も出ている。最高裁違憲状態とされた衆院の「一票の格差」是正は、自民党も「今国会中にやらなければならない問題だ」(谷垣総裁・8日の3党首会談後の会見)としており、10月の衆院解散が濃厚となってきた。

<民主大敗・自民が比較第1党の公算、自・公政権でも「ねじれ」解消せず>

7月26日から8月10日に行った与野党幹部のインタビューから浮かび上がった総選挙の情勢分析では、民主党が劣勢に立たされている。逆に、自民党が独自に行った調査では200議席近い結果が出たもよう。自民党が比較第1党になると見込まれているが、単独で過半数を獲得する政党もなく、自民・公明の連立政権でも衆参で多数派が異なる「ねじれ」状態は変わらず、不安定な政権運営は続く。政治を動かすには、一体改革で経験した部分連合か、大連立の道しかないが、民主・自民幹部はいまのところ選挙後の大連立には否定的だ。

民主党の石井一副代表は民主党が大敗し野党に転落する可能性もあると厳しい見通しを示した。自民・民主・その他の政党が3分の1ずつ議席を分かち合い、比較第1党の自民党を中心に自民・公明、場合によっては大阪維新の会が政権与党となる可能性が高いとした。自民党民主党の大連立の可能性も「例外的にはあるかもしれない」と述べたが、「民主党は3年政権を取って、十分マニフェストも達成されていない。一度、下野する選択のほうが(可能性が)高いだろう」と野党転落の可能性を示唆した。

これに対して、自民党大島理森副総裁は「自民・公明両党で過半数を取る可能性は十分ある」と自信を示し、躍進が見込まれる大阪維新の会との連立は「ほとんどない」と慎重な見方を示した。選挙後の政権の枠組みでは、「第1党が政権を担いながら、自・公・民で協力体制をとりつつ、3党合意事項の結論をしっかり出すことこそ責任ある政治だ」と指摘。民主党との大連立こそ否定したが、政策ごとの部分連合に含みを残した。

イメージ選挙なら、「決まらない政治」が続く>

他方、自民・民主双方に太いパイプを持つたちあがれ日本園田博之幹事長は「国民生活に直結する課題で再編成が起こることが一番現実的だ」と述べ、「次の次の選挙までに再編になるだろう」と見通した。

ただ、波乱は「大阪維新の会」など既成政党批判の受け皿となる第3極の動き。園田氏は「維新の会」を「脅威」とみる。ただ、園田氏は、維新の会はイメージの選挙をしようとしているとし、小沢新党「国民の生活が第一」も反増税・反原発を掲げて自・公・民路線に対抗するが対案の提示はなくムード先行だと警戒。「ムード選挙」に陥り、決められない政治が続く事態を危惧した。
2007年の参院選で与党だった自民党が負けて衆参「ねじれ」が始まった。2010年の参院選では与党民主党が負け、「政治の機能不全」は5年におよんでいる。

一体改革で「究極のチキンゲーム」(民主党幹部)を制したのは、野田首相のぶれない姿勢だったという。与野党を超えた重要課題をまとめあげ、機能不全に陥っている政治を動かす想いが、谷垣総裁、山口代表と共有された結果だった。山口代表は選挙後も「決められる政治をする、日本の政治が機能することは、国際社会に対しても、国民に対しても重要なことだ。その責任感は共有しなければならない」という。政治家が最も抵抗する消費増税与野党の合意が得られた今回の政治劇は、今後の政界再編の試金石になりそうだ。

(ロイターニュース 吉川裕子 :編集 石田仁志)
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