中国賃上げは長期的に日本に影響と日銀副総裁、デフレ圧力緩和か(REUTERSから引用)

円は元に対して価値を下げていく、ということか。

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[岡山 18日 ロイター] 日銀の西村清彦副総裁は18日、岡山市での記者会見で、中国の賃上げが長期的に日本の賃金に影響を与える可能性を指摘した。

中国の賃上げは、世界的なインフレ要因になると米連邦準備理事会(FRB)関係者もみており、日本ではデフレ圧力の緩和要因として注目されそうだ。

西村副総裁は、中国政府が製造業を重視した政策を進めた結果、「農業にある種のしわ寄せが来ており、わずかな気候変動の影響で豚肉や野菜の価格が変動する」と指摘。このため「足元さまざまな賃上げが起きている」とし、「中国のインフレ傾向を十分注意し、見ていく必要がある」と強調した。

さらに「中国と日本の経済は単にモノの輸出入でつながっているのでなく、企業立地を通じて、長期的に(日本での企業の)賃金などの決定プロセスにも影響してくる」との見方を示した。

<食品価格高騰で中国賃上げ>

中国国家統計局が9日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月に比べて3.6%上昇、前月の3.2%から上昇率が0.4ポイント拡大しインフレ圧力が根強いことを示した。野菜(20.5%上昇)や豚肉(11.3%上昇)など食品価格が全体で7.5%も上昇したのが主因だ。温家宝首相も13日、経済が下向き圧力に直面する一方、インフレリスクは高まっていると指摘し、マクロ経済管理と政策を引き続きタイムリーに向上させ、微調整すると強調。不動産市場の抑制策も維持すると述べている。

デフレ脱却が急務の日本ではインフレリスクの現実味を実感するのは難しい。しかし米国でもFRBタカ派幹部は、米国の潜在成長率が低下していると仮定すれば、過剰な金融緩和がインフレリスクを招来する可能性を指摘。一部FRB関係者も、世界の工場である中国の賃上げが世界的なインフレの芽になり得る可能性を注視していると日銀幹部に伝えているもよう。

<日本のデフレ緩和要因か>
日銀は2月、事実上のインフレ目標、「物価安定の目途」を導入し、消費者物価上昇率が1%に達することが展望できるまで、強力な金融緩和を進める姿勢を明確に示した。今月27日の金融政策決定会合では、2012年度と13年度の消費者物価上昇率を、それぞれ従来の前年度比0.1%、同0.5%から数ポイント引き上げる。しかし安定的に1%を達成するまでは距離があることなどを理由に追加緩和を実施する公算が大きい。

今後日銀が追加緩和のタイミングや規模を判断していく際、デフレの構造的な主因のひとつとされる日本の上昇しにくい賃金水準が、中国発インフレの余波で上昇に転じるかは重要な要素であり、注目されそうだ。

(ロイターニュース 竹本能文:編集 内田慎一)
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