JPモルガンなどがイタリアに与えた屈辱−納税者負担9.1億円 (Bloomberg.co.jpから引用)

日本の企業や地方自治体、特殊法人でも隠れ負債があり得るのではないか。

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4月12日(ブルームバーグ): 第2次大戦の激戦地として知られるイタリアの町、カッシーノの3万3000人の住民にとって、借り入れコストを減らすために町が利用したデリバティブ金融派生商品)投資は、契約が締結された段階で失敗することが明らかだった。契約を組成したウォール街の銀行はあっと言う間に利益を手に入れた。

ブルームバーグが先月入手した文書によれば、カッシーノは2003年に2250万ユーロ(現在の為替レートで約24億円)相当の債務の固定金利を変動金利と交換する契約を当時の米ベアー・スターンズと結んだ。金利スワップのコストが急上昇したことで、同社を08年に買収した米銀JPモルガン・チェースを町が訴え、契約は清算されたが、カッシーノは57万7000ユーロ(約6150万円)の損失を被った。同町にとっては、無料の託児所サービスを住民に提供する年間支出の半分以上に相当する額だ。

イタリア銀行(中央銀行)の推計では、これらの証券会社が組成した不透明なデリバティブ契約によって、同国の納税者は12億ドル(約9億1300万円)を上回る負担を強いられることになる。JPモルガンやドイツ銀行などの金融機関は、ギリシャや米アラバマ州のジェファーソン郡といった政府・自治体に対し、利払いコストの削減を約束する一方で、実は売り手に有利な仕掛けのスワップ契約を売り込んだ。カッシーノは託児所サービス用財源をカットしたほか、ごみの収集料値上げに踏み切った。

カッシーノが提供したベアー・スターンズとの最終契約の記録をブルームバーグLPのBVALデリバティブ評価部門が分析したところ、スワップ契約は約80万ユーロ(約8500万円)の初期利益を同社にもたらした。金融コンサルタント会社、ケンブリッジ・システムズ・アソシエーツの分析によれば、利益の推定額は69万ユーロとなる。

原題:JPMorgan Cassino Settlement Shows Derivatives FailedTaxpayers(抜粋)

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更新日時: 2012/04/12 16:51 JST
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