日銀の追加緩和の「本命」は27日会合−来週も予断許さず (Bloomberg.co.jpから引用)

こういうことは空気ではなく、事実や学問に基づいて判断すべきだ。しかし、自己の楽しいことや気持ちいいことのために生きているのが人間。そのため事実や学問ではなく空気に左右される。それが強いのが日本文化。

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4月6日(ブルームバーグ):日本銀行が9、10日の2日間の予定で開く金融政策決定会合は、現状維持との見方が大勢で、27日開く今月2回目の会合で追加緩和が行われるとの見方が強まっている。もっとも、株価が1万円を割り込んでいることや、週末発表される米雇用統計を受けて為替相場が大きく動いた場合、今会合での追加緩和の可能性も否定できないとの声も出ている。

ブルームバーグが有力日銀ウオッチャー13人を対象に行った予想調査では12人が現状維持を予想した。政府はサーベイ回答者のBNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストを日銀審議委員として提示したが、野党が過半数を示す参院の採決で否決された。

SMBC日興証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「足元では国会同意人事となる日銀審議委員の協議さえも政争の具となっているように見える」と指摘。今会合は「メインシナリオとしては追加緩和なし」を予想するが、日経平均株価が1万円割れとなり、6日発表の米国の3月の雇用統計を受けて、「来週明けに急に春の嵐が日銀を襲う可能性を100%否定することはできない」という。

シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストも「経済に改善の兆しがみられるほか、円ドル相場も小康状態にある」として、今会合は現状維持を見込む。ただ、「米雇用統計の結果次第では円高圧力が再燃する可能性も否定できず、その場合、政治的圧力の強まりを背景に、追加緩和が打ち出されることもあり得る」とみている。

「1%」遠いなら追加緩和すべし

もっとも、大勢は今会合の現状維持を予想しており、代わりに強まっているのが、経済・物価情勢の展望(展望リポート)が公表される27日会合での追加緩和予想だ。展望リポートでは2012年度と13年度のコアCPI(除く生鮮食品)前年比の見通しが示される。日銀が1月の中間評価で示したコアCPI前年比の見通し(委員の中央値)は12年度がプラス0.1%、13年度がプラス0.5%だった。

日銀は2月14日会合で、CPI前年比上昇率1%をめどとして、これが見通せるまで強力に金融緩和を推進していくと表明。10兆円の長期国債買い増しを決めた。野村証券の松沢中チーフストラテジストは「2年先の物価見通しが1%をはるかに下回っているなら、追加緩和を実施すべきだ」と指摘する。

2月のコアCPIは銘柄変更により薄型テレビの価格下落ペースが鈍化したため、プラス0.1%と5カ月ぶりに上昇。この影響が今後1年続くのに加え、足元の円安と原油価格の上昇を受けて、日銀は小幅ながら見通しを上方修正するとの見方もある。岩下氏は日銀の新たな見通しは12年度がプラス0.2%程度、13年度はプラス0.7%程度と予想。「プラス幅が徐々に拡大する方向性が示される」とみる。

いつも通り「空気」が決め手に

しかし、たとえ13年度がプラス0.7%まで上方修正されても、なお1%には達しない。JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「物価安定のめどを発表したことは、景気判断が悪化しなくとも、物価の先行き判断で追加緩和すると市場では解釈されている」と指摘。2月の決定との整合性を保つためにも「追加緩和は必要」で、現状維持なら「市場の混乱要因となる」という。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジストは「事実上とはいえインフレ目標を導入し、その目標達成がおぼつかない現状では、資産買い入れ等基金の増額などの追加緩和策を敢行する可能性がある」と指摘。「いつものように、市場の期待度や政治圧力といった直前の『空気』が決め手になる」とみる。

一方、バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジストの見方は異なる。「米国のQE3(量的緩和第3弾)期待が後退するのに連動して、日銀の追加緩和の可能性も低下している」と指摘。さらに、「政治的には、解散総選挙が近づく情勢となれば、日銀は動くことを遠慮するタイミングとはなる」という。

機械的に動かす必要はないとの声も

森田氏はまた、「2月の緩和によって市場、あるいは政治家に広く認識されたことは、為替市場に対するアナウンスメント効果こそが、ゼロ金利下における中央銀行の行動の結果としては最も大きいということだ」と指摘する。

その上で「日銀のCPI見通しはいずれにせよ、今後2年間は1%未満であり続ける可能性が高く、CPI見通しに応じて機械的に政策を動かしていく必要はない」と指摘。「CPI見通しにかかわらず、日銀の行動による効果が最も大きくなるタイミングで政策を動かしていくという方向に、考え方を切り換えてゆく必要があるのかもしれない」としている。

=============================================================◎利上げ予想時期は次の通り(敬称略)【2014年4−6月以降】SMBC日興証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストモルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミスト【2014年7−9月以降】みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト野村証券松沢中チーフストラテジスト(0.0−0.1%から0.1%へ)【2014年10−12月以降】シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト【2015年以降】三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジスト、東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト、JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミスト第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジスト、クレディスイス証券の白川浩道チーフエコノミスト信州大学の真壁昭夫教授、バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジスト==============================================================無担保コール翌日物金利の予想は以下の通り(敬称略50音順)

12 12 12 13 13 13 13 14
6末 9末 12末 3末 6末 9末 12末 3末

                                                                                                                        • -

調査機関 13 13 13 13 13 13 13 13
中央値 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
最高 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
最低 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10

                                                                                                                        • -

三菱UFJ・MS 石井   0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
SMBC日興証 岩下  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
みずほ証 上野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東短リサーチ 加藤 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
JPモルガン証 菅野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
第一生命経研 熊野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
モルガン・スタンレーMUFG 佐藤 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東海東京証券 佐野   0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
クレディS証 白川 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
信州大 真壁 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
野村証 松沢 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
シティG証 村嶋 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
バークレイズC証 森田 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10

(注)無担保コール翌日物金利の予想の0.10%は政策金利「0.0−0.1%」の現状維持。「日銀サーベイ金利予想、経済・物価情勢、金融政策の展望コメントを9日朝に送信しました。

記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/06 00:00 JST
引用終了