日本の中国国債購入の意図は? 最大650億元(人民網日本版から引用)

日本政府は、どうやらユーロを売り、元を買うようだ。

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人民元値上がりへの期待や、利差による利益獲得のチャンスが訪れたことを受け、中国の国債が外国人投資家の間で人気を集めつつある。日本の財務省安住淳大臣は13日、中国関連部門の許可を受けて、最大で650億元の中国国債を購入することができるようになったことを明らかにした。「国際金融報」が伝えた。

 安住大臣は同日に行われた内閣の会議の後で記者会見し、このことを明らかにした。安住大臣によると、中国国債の購入における一種の技術的な手続にはなお数カ月の時間を要し、日本側は市場の動向に基づいて中国国債購入のタイミングを判断する。具体的な購入額については、日中両国の経済的連携を強化するとの初志に基づき、650億元が適切な購入規模だと考えるという。

 ▽日本が一手先んじる

 日本が中国国債の購入を認められたのは今回が初めてのケースだ。安住大臣によると、日本の外貨資産の運用をめぐる各種の状況を考え合わせて、初めは少額の購入が妥当だという。

 これについて中国人民銀行中央銀行)の易鋼副行長(副総裁。外匯管理局局長を兼任)は次のような見方を示す。日本が達成した合意の枠組下で、中国債権市場に投資することを歓迎する。これと同時に、中国も日本の国際市場、あるいは固定収益商品市場に投資していく。中日両国のこうした相互の投資や共同での協力は、潜在力が非常に大きいといえる。

 現在、外国人投資家が中国国債を購入する方法は主に2つある。1つは適格海外機関投資家(QFII)の資格をもった投資家が香港地区の二級市場で人民元建て債権を買うことであり、もう1つは中国政府と特定の合意を締結することだ。日本政府は後者を採用するとみられる。

 欧米の経済状況が低迷する中で、世界1、2位の米国債保有国である中日両国は、どちらも米ドル下落の影響を避ける道を探し始めている。昨年12月に日本の野田佳彦首相が中国を訪問した際、両国指導者は日本政府による中国国債購入で一致した。

 復旦大学経済学院の孫立堅副院長は「国際金融報」の取材に応える中で、「日本が中国国債を購入するのは、戦略的に先んじて打ち出した一手だと理解できる。人民元の値上がりへの期待や利差による利益獲得のチャンスが訪れたことが、日本の中国国債購入の主な原因だ」と指摘した。

 孫副院長の分析によると、日本は一方では中国国債の購入を通じて人民元値上がりへの期待をさらに押し上げ、日本円の対人民元レートを引き下げ、自国の輸出企業の競争力を高めることができる。また一方ではグローバル国債市場の利回りを考えると、中国国債の1年ものの平均利回りは3-3.5%、米国国債の利回りは約1%、この他の多くの国の国債は利回りが1%にも満たないため、中国国債購入によって利益を獲得することが期待できるという。
 ▽短期的な行為

 孫副院長は「注意しなければならないのは、日本の中国国債購入は米国国債の売却とイコールでないことだ。これまでの一定期間、日本は米国債を買い増してきた。中国国債の購入に充てる資金は主に欧州市場から引き揚げた資金だ」と話す。

 安住大臣が記者会見で述べた内容も、孫副院長の見方を裏付ける。安住大臣は「ある国が別の国の国債に投資すれば、双方が利益を得られる。われわれは米ドルやユーロを投げ売りしたりはしないが、人民元を増やして中日関係を深めたいと考える。日本が中国国債の購入を選択するのは、外貨準備を多様化させ、リスクを回避することが狙いだ」と述べた。

 実際、日本だけでなく、韓国も中国国債の購入を検討している。外貨準備として人民元保有する国は東南アジア諸国連合ASEAN)、モンゴル、朝鮮といった中国と貿易取引のあるアジア諸国が中心だ。先進国ではノルウェー中央銀行人民元建て資産に33億元の投資を行っている

 孫副院長によると、ますます多くの国が中国国債を購入したいと考えるようになっており、このことは人民元が国際社会にしっかりと認知されたことを意味する。だがこうした海外資本の中国国債購入は人民元を準備資産とすることが目的ではなく、主に投資収益とリスク分散が狙いだ。このため、中国国債購入は短期的な動きに過ぎず、人民元が値下がりしたり、中国経済の成長ペースが落ち込んだりすれば、こうした資金はすぐに撤退する可能性があるという。

 孫副院長は次のような懸念をもらす。多くの国と異なり、中国政府は危険な「反対方向の操作」を行っている。多くの国は欧州市場から撤退し始め、中国国債に投資すると同時に、米国国債を引き続き買い増ししている。これとは反対に、中国政府は欧州の債券の買い増しを続け、米国国債を減らしている。ここにはなんらかの経済的、政治的な配慮があるのはもちろんだが、そこに存在するリスクを軽視することはできない。(編集KS)

 「人民網日本語版」2012年3月14日
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