メルセデス・ベンツ、中国の販売台数の伸びにかげり(WSJ日本版から引用)

中国も調整期に入るのだろうか。要注意。

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【北京】メルセデス・ベンツは23日、これまで急成長を続けてきた中国市場で販売台数の伸びに鈍化がみられることを明らかにした。中国経済成長のかげりを示す新たな兆しとなっている。

 ドイツの自動車大手ダイムラーの高級車ブランドであるメルセデス・ベンツの販売台数は夏に中国で増加ペースが失速し、販売環境は「厳しさを増している」(メルセデス幹部)という。

中国、インド、ブラジル、その他の新興国市場は前回の景気後退(リセッション)脱却でけん引役となってきたが、これら市場が息切れするのではないかとの懸念が高まっている。22日には中国製造業の景況感指数が発表されたが、3カ月連続で下向いた。

 今年、中国自動車市場全体の成長率が鈍化したにもかかわらず、高級車の販売台数は急増していた。中国のメルセデス・ベンツ販売台数は今年前半、60%近く増加した。中国は既に同社旗艦モデルのセダン「Sクラス」の最大市場となっている。

 しかし、メルセデス・ベンツ中国部門のクラウス・マイヤー最高経営責任者(CEO)は23日、インタビューに応じ、7月と8月には中国での販売台数の伸び率が鈍化したと述べた。年初からの8カ月間で、メルセデス・ベンツの中国での販売台数は前年比41%増の12万3590台に上る。同社は、7月と8月の中国での販売台数の伸びについては具体的な数値は発表していない。

 メルセデス・ベンツの中国の販売台数には香港での販売台数は含まれないが、ダイムラーのもう1つの小型車ブランド「スマート」の販売台数が含まれる。

 マイヤーCEOは、伸び率は鈍っているものの、中国の高級車市場が低速モードに入ったかどうかについてはまだ判断できないとし、7月と8月は例年中国で販売台数が伸び悩む時期であるため、年内の見通しを見極めるには9月の売れ行きを見る必要があるとした。

 アジア富裕層の高級品購買意欲が衰えていないことは他の分野で明らかだ。「カルティエ」や「ピアジェ」の高級腕時計で知られるスイスの高級品メーカー、リシュモンは中国での4−8月期の売上高が前年比46%増となったことを発表した。また、イタリアのファッション・メーカー、プラダは今週、日本を除くアジアでの売上高が35%増となり、受注状況に衰えがみられないことを発表している。

 メルセデス・ベンツによると、中国のメルセデス・ベンツ販売台数全体の7割近くはドイツからの輸入車だ。昨年の販売台数は14万7670台。

 マイヤーCEOは、高級車の販売台数が今年前半に急増した後、伸び率が衰えることは予想されていたことであり、今年に入って市場全体が鈍化したことを考えると、今も売れ行きは「申し分ない」としている。中国自動車市場の鈍化は、政府による奨励策打ち切りで、比較的手に入れやすい軽商用車や小型車の売れ行きが鈍ったことが一因だ。

 業界筋やアナリストの一部は、2009年以来世界最大規模となっている中国自動車市場の今年の販売台数伸び率は前年比約5%とみている。2010年の販売台数は、前年比約30%増の1800万台だった。

記者: Norihiko Shirouzu
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