FOMCのツイストオペ、9月末のドル/円をサポート (REUTERSから引用)

短期的に円安、日本株半値近くまで戻しとなるか。それともズガンと落ちていくのか。いずれにしろ、日本経済の回りが悪くなりそうだ。

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[東京 22日 ロイター] 米連邦公開市場委員会(FOMC)が21日決定した「ツイストオペ」は、10年米国債など長めの期間の金利低下をねらった措置だが、それにより短めの金利には下げ止まり感が生じた。

 為替市場ではそこに焦点があたっており、輸出企業の売りニーズの強まる9月末のドル/円をサポートすると予想されている。  

 <ツイストオペ受け米2年債利回りに下げ止まり感>  

 今回の措置では、2012年6月末までに残存期間6─30年の財務省証券4000億ドルを買い入れ、残存期間3年以下の財務省証券を同額売却する。「より長期の金利に下向きの圧力を加え、より広い範囲の金融状況をいっそう緩和的にする」(FOMC声明)ことがねらいで、21日の米10年債利回りは20日の1.9368%から1.8559%に低下した。  

 その裏側で短めの期間の金利は上昇し、2年債利回りは0.1613%から0.1977%に切り上がった。米景気回復に減速感が強まるなかで、これまで米イールドカーブには短い期間から長い期間に至るまで全般に下押し圧力がかかっていたが「ツイストオペの決定で、2年債利回りなど短い期間の金利には下げ止まり感が出た」(野村証券シニア為替ストラテジスト、池田雄之輔氏)という。 

 長めの期間の金利低下をねらったツイストオペにとって、結果的に生じる短めの期間の金利の上昇は、いわば一時的な副作用といえる。ドル/円は短めの期間の金利により強く反応するため、この副作用のほうに焦点があたった。76.30円付近にいたドル/円は、FOMC声明の発表を受けて上げ足を速め、東京市場に入って77円の上値をトライする動きになった。

 FOMC声明の経済見通しで前月に続いて言及された下方リスクに「著しい」という形容詞が加わったことで米国株やアジア株が下落し、リスク回避のドル買いがドル/円にも波及したこともこうした動きを支援した。現在のリスク回避はユーロ/ドルを中心に起きており、買い戻しの柱はドル。このため、ドル/円でもドルが買われやすくなっている。 

 <ドル/円は78円トライとの見方も>
ドル/円には固有の材料が乏しく、とりわけ買い材料は76円近辺での介入警戒感などだけだ。一方で、上期末にあたる9月末をにらんで売り遅れの指摘されている輸出企業にはドル売りニーズが強く、ドル上昇を切望している。市場に9月末に向けた介入観測がくすぶっているのもこのためだ。

 市場では「ツイストオペの決定は、ドル/円にとって上昇のチャンス。78円程度までは上昇余地があるのではないか」(みずほコーポレート銀行マーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)との声が出ている。

 もっとも、米2年債利回りには、下げ止まり感はあっても先高感が出ているわけではない。米金利には時間軸政策という強力な縛りがかかっているためだ。また、次回11月のFOMCが近づけば、今回は見送られた準備預金金利引き下げという短期金利低下効果を持つ政策オプションが意識され、2年債利回りにも低下圧力がかかると予想されている。

 このため「当面の2年債利回りの上昇は0.2%前後まで。ドル/円は75円割れというような下値不安は後退しているが、上値は77.75円程度」(SMBC日興証券シニア債券為替ストラテジスト、野地慎氏)、「78円から上の輸出企業などのドル売りは非常に厚い。ドルは77円前半で伸び悩みそうだ」(野村証券池田氏)などの見方も出ている。

 (ロイターニュース 松平陽子 編集:北松 克朗)
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