訂正:欧州発の「有事」に備える日銀、ソブリン危機の波及を懸念(REUTERSから引用)

時が来れば、日銀も資金供給をもっとするのだろう。その前には、株価が下がったりするなど、景気がさらに悪化するだろう。

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[函館 14日 ロイター]  ギリシャ債務危機が欧州発の金融システム不安につながる懸念が高まる中、日銀から「有事」をにらんだ対応へのメッセージが出始めている。

 14日に函館市内で講演した日銀の宮尾龍蔵審議委員は、欧州ソブリン問題の悪影響に懸念を表明した。資産買い入れ基金の増額など、日銀の「次の一手」をめぐる議論が一段と高まりそうだ。

 講演の中で宮尾委員は、昨年5月にはじまったギリシャ危機について、「イタリアやスペインまで飛び火する事態に至り、欧州債務問題を巡るリスクは拡大している」と指摘した。その後の記者会見では、「金融市場のさまざまな不安を勘案しながら先行きの景気・物価情勢を丹念に点検し、必要と判断すれば適切な措置を講じる」と強調。「欧州の国債に対するエクスポージャーが大きくない日本の金融機関への直接的な影響は大きくない」としつつも、「金融システムが不安定化し更に実体経済にも波及する場合は世界経済全体に大きな影響を与えうる」と述べた。

 実際、欧州情勢は緊張の度合いを高めている。ドイツのレスラー副首相・経済技術相、自由民主党(FDP)のリンドナー幹事長など政府・与党幹部からギリシャの秩序だったデフォルト(債務不履行)を認めるような発言が相次いでいる。一方、ギリシャの財務次官は11日、同国政府の資金繰りが10月までしか持たないと表明。ギリシャがデフォルトすれば貸し手である欧州金融機関が打撃を免れない。

 ドイツばかりか、ユーロ圏随一の健全な財政運営を誇るフィンランドでも国内にギリシャ支援への慎重論が台頭。これを背景に、同国がギリシャに対して担保を要求するなど、対ギリシャ強硬論はドイツ・オーストリア・オランダなどを超えて広がっており、これがギリシャ破産、ギリシャのユーロ離脱、さらにはイタリアなど財政が深刻な諸国への飛び火、という悲観シナリオを勢いづかせている。

 欧州で「有事」が起きた場合の日本への影響としては、1)世界的な投資家のリスク回避による株安・円高、2)対欧輸出の減少、3)欧州市場ひっ迫による日本企業の資金調達難 ─ などが考えられる。

 現時点で、日本企業による欧州での資金調達などには問題は生じていない。国内の社債コマーシャルペーパー(CP)の発行も、電力債を除き問題ない状態だ。ただ、日銀が資産買い入れ基金で買い入れを進め、市場を安定させている側面もある。欧米の銀行間市場が円滑さを失えば、邦銀のドル資金調達が支障をきたす可能性も否定できない。

 2008年9月のリーマンショック発生後、日銀は、米欧当局と協調して大量の資金供給を実施したものの、利下げに踏み切ったのは10月末(訂正)、CP買い入れの決定などは12月だった。米欧中銀が10月行った協調利下げにも主要国7カ国(G7)で唯一加わらず、株価急落やプレミアム拡大など市場に催促されて、動いた面があることは否定できない。
日銀は9月6、7日に決定会合では追加緩和を見送った。しかし、日本経済の腰折れ阻止や市場の不安感払しょくに向け、日銀による追加緩和策を求める声は高まるとみられ、ドル資金などの潤沢な流動性の供給と同時に、基金の増額などが具体的な検討項目にあがる可能性がある。 

(ロイターニュース 竹本能文;編集 北松克朗)

*最後から2段落目の文中「利下げに踏み切ったのは11月」を「10月末」に訂正します。
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