ギリシャ支援のトロイカ協議が一時中断―欧州市場に緊張走る(WSJ日本版から引用)

欧米の通貨安競争に振り回される日本や中国と新興諸国。もう一段円高の可能性が高い。

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アテネギリシャ救済のトロイカと呼ばれる欧州連合(EU)、国際通貨基金IMF)、欧州中央銀行(ECB)の3機関代表による救済資金に関する協議 は2日、一時中断に追い込まれた。ギリシャ財政赤字目標の達成が困難となり、その対応策について3機関とギリシャ政府側の意見が分かれたためだ。これに より同国の今後の資金調達に疑念が生じ、欧州の金融市場で再び緊張が高まっている。
協議がストップしたことでギリシャ国債利回りは、間もなくほぼ確実にギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥るとみられるレベルまで上昇した。1年物の利回りは70%を超え、2年物の利回りは48%に近づいている。
 ギリシャ国債は現在ほとんど取引されておらず、利回りの激しい変動も珍しくない。それよりもユーロ圏の政府にとって不安の種となっているのは、イタリアの借入金利の上昇だ。イタリアの緊縮財政が骨抜きにされるのではとの不安を反映しており、スペインについても同様の金利上昇が起きている。
 欧州の株式市場は軒並み下落、フランスが3.6%、ドイツが3.4%落ちた。
 政府筋によると、アテネで行われていたギリシャ政府と3機関代表との協議がストップしたのは、新たな財政赤字の埋め合わせ方法ついて意見が分かれたため。
 同協議に詳しい情報筋は、「ギリシャ政府が赤字目標未達の原因は景気後退としているのに対し、トロイカ側は、確かに景気後退の影響もあるが、基本的にギリシャが改革の約束事項を守らなかったためであり、不足分を補うために 追加措置が必要と主張している」と述べ、「両者の間には、今日中に埋められない明らかな溝があった」と付け加えた。
 今週初めに始まったトロイカ協議は9月5日に終わる予定だったが、ギリシャ政府高官によると、2010年の予算案を政府が作成する約10日後に再開する予定だ。
 昨年認められたギリシャ救済融資1100億ユーロ(約12兆円)のうち、次回支払い分80億ユーロが支払われるかどうかはこの協議にかかっている。ギリシャは2014年までの資金繰りを確保するため、さらに1000億ユーロ以上の追加救済策を求めているが、融資国からの正式な合意はまだ得られていない。
 ギリシャのベニゼロス財務相は2日の記者会見で、交渉が決裂したわけではないとしながらも、ギリシャは、景気後退をさらに悪化させるような追加措置を回避せねばならず、そこでトロイカとの意見の食い違いが生じていると述べた。
 ギリシャ当局関係者は、財政赤字の新たな予想額に関しても見解に違いがあるとした。
 ギリシャ政府は今年の財政赤字を対国内総生産(GDP)比で、公式目標の7.6%に対し約8.1〜8.3%とみている。ただし、それ以上悪化する可能性も否定してはいない。
 トロイカ側は、今年の財政赤字は対GDP比8.8%に達するとみており、今年と来年、目標達成のために追加の歳出削減を求めている。
 ベニゼロス財務相は2日の記者会見で、6月に国民のデモが暴動に発展した後でギリシャ議会が可決した緊縮案をすべて実行すれば追加措置は不要との見解を繰り返し、「わが国にとって、リセッションを抑制することが重要。やりすぎて事態を悪化させることではない」と述べた。

記者: Alkman Granitsas and Stelios Bouras and Costas Paris
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