リビアの外資系石油会社、業務再開に備える(WSJ日本版から引用)

リビアが落ち着けば原油、そして金も少し下がる。それらを上げるために、また産油国で争いが起こされるのだろうか。

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内戦勃発前にリビアで活動を行っていた外国石油会社は、22日に反体制派が首都トリポリ制圧に近づいたことを受け、業務再開という難題に向けて準備を始めている。

 外国企業がリビアに戻れるほど事態が安定化するまで、一体どの程度かかるかは依然かなり不透明ではあるものの、少なくとも1社は既に反体制派と連絡を取り、状況確認を試みていると話す。
米国のデータによると、2010年のリビア原油および石油製品の産出量は日量180万バレルに達していた。反体制派の勝利により、リビアでの石油生産回復に道筋が付く可能性がある。だが、インフラへの被害の大きさや騒乱が長引く危険性など依然大きな障害が残る。

 米テキサス州ヒューストンを拠点とする石油会社マラソン・オイルの広報担当者によると、同社は生産復旧計画を立てることを目標に、権益を有する施設の状態について反体制派と「予備的協議」を行っているという。

 英石油大手BPの広報担当者は22日、「状況が許せば」すぐにでもリビアへ戻る決意だと述べたが、具体的な期限は定めていないとした。英蘭系のロイヤル・ダッチ・シェルやフランスのトタル、スペインのレプソルYPFも以前リビアで活動を行っていたが、生産をいつ再開するかについてはコメントを差し控えるとした。

 リビアはアフリカ最大の確認埋蔵量を誇る世界の主要石油輸出国の1つだ。そうしたリビアの石油業界にとっての重要性と将来的に生産可能な石油の量とを考慮した場合、政治的危険性の高い国での活動に慣れた国際的な石油会社には非常に魅力的な存在に映る。

 反体制派は7月、カダフィ政権が交わした石油会社との契約は少なくとも民主化への移行期間は履行する意向を明らかにした。

 だが、リビアの新体制がどのようなものになるかは依然不明であり、それによって石油会社がリビアでのビジネスチャンスをどのように捉え、産油量をどの程度早く以前の水準にまで戻すか、または一段と増やすかは異なってくる。

 欧州の原油価格の指標となる北海ブレント原油は、0.2%安の108.36ドルまで下がった。米政府によると、昨年リビアから輸出された石油の大半は欧州向けのものだった。

 リビア反体制派側の石油会社AGOCOの広報担当者は22日、同社が所有するパイプラインと油田は反体制派軍によって保護されていることを明らかにした。内戦前のカダフィ政権下で運営されていた当時の同社の産油量は通常、日量42万5000バレルだった。

AGOCOの担当者は、いつ生産が再開できるかについては言及を避けた。ただ、同社は以前、治安が確保されれば2週間以内に日量18万バレルを産出できる可能性があると表明していた。

 被害の大きさは恐らく甚大だ。外国や反体制派の石油会社の従業員によると、爆撃によるダメージがかなり広範囲に及んでいるほか、パイプラインの流れが数カ月間滞っていた影響で、粘度の高まった原油が詰まっている可能性がある。

 中には現在の状況をイラクと比較するアナリストもいる。国際エネルギー機関(IEA)によると、イラクの場合、産油量が03年の米軍率いるイラク侵攻前の水準を上回るまでには4年以上かかった。

 石油輸出国機構(OPEC)に加盟するアラブ諸国は、リビアの石油施設の復旧時期について結論を出すことには慎重だ。OPEC加盟国の代表者の一人は、「リビア情勢は依然、非常に漠然としており、OPECは当面様子見の姿勢を維持する意向だ」と述べた。

 ペルシャ湾岸のある産油国の高官は22日、サウジアラビアリビアの供給正常化に備えて自らの生産能力の調整を準備していることを明らかにした。

記者: Liam Pleven and Benoit Faucon

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