マンション更新料訴訟:便乗請求懸念の声 貸主側は評価(毎日jpから引用)

記事中の「NPO法人・日本地主家主協会の専務理事」の意見の通り、約束を守るということは、日本人の美徳のひとつであり、維持されるべきだ。景気がいいときは、貸し手が有利な条件の契約が多く、不景気な時は、借り手が有利な条件が多い。後で契約内容が気に入らないのであれば、解約して出て行けばいい。出て行くといったときに、大家が「待ってくれ」と言ったら更新料だけじゃなく家賃も交渉できるのではないか。

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 「消費者保護の目線を無視した判断」。マンションの賃貸更新料を巡る契約条項を「有効」とした15日の最高裁判決は、毎年家賃2カ月分の更新料も容認する内容だったことから、借り主から疑問の声が上がった。借り主弁護団からは、判決に便乗した請求を懸念する声も聞かれた。【古屋敷尚子】

 判決後の記者会見で借り主側弁護団の増田尚弁護士は、学生や若者などの低所得者層を念頭に「毎年まとまった金額を支払うことがどれだけ大変か、裁判官は理解しようとしていない」と指摘。平尾嘉晃弁護士は「この判決を機に更新料を(最高裁が認めた)2カ月分に増額したり、新たに更新料支払いを求める貸主が増える恐れがある」と訴えた。

 原告の一人の女性会社員(28)は「判決は残念」と話した。女性は03〜08年に京都市西京区のアパートを借り学生生活を送った。家賃は月額3万8000円で、1年ごとに2カ月分の更新料を支払う契約。下見したアパート全てに更新料が設定され、当たり前だと思って契約した。だが、学生にとって1年間に約8万円の貯金は困難。更新時期に実家からの仕送りを増額してもらうしかなかった。「こうした契約が増えると、学生がいる家庭の経済的負担も大きくなる」と危惧した。

 一方、貸主側は全面的に評価した。被告でマンション管理業「長栄」(京都市)の長田修社長(62)は「(訴えは)うどんを食べた後で『値段が高かったから返金を』と言うようなもの」と指摘。「払うのが嫌なら更新料がない物件を選べばいい」と話した。被告側の田中伸弁護士は「無効と判断されていたら多くの貸主が破産する事態になっていた。常識的な判決」と述べた。

 ◇「判決は疑問に答えていない」 NPO法人
 NPO法人消費者機構日本の磯辺浩一専務理事(50)は「借り主はなぜ更新料を徴収されているか分かっていないが、判決は疑問に答えていない。契約時に貸主と借り主に情報格差があるのは明らかで、判決の認定は遺憾だ」という。

 そのうえで「更新料は賃料相場が急上昇している時に後から補完する目的で取り入れられたもの。賃料が下がっている今の環境で目的に合った運用がされているかを認識して判決を出したとは思えず、内容は納得できない」と批判した。

 東京借地借家人組合連合会の生駒勝美副会長(72)は「更新料のように法の定めがないものは、貸主側の主張に沿った判例が出ることが多い」と分析。「いったん入居すれば合意がなくても法律上、契約更新はできる。借り主側も更新料を払うつもりがなければ、契約時や更新時にしっかり主張していくべきだ」と語った。

 一方、NPO法人・日本地主家主協会の専務理事は「今は人口減少で空き室が増え、情報も入手しやすい『借り手市場』。市場原理の中で更新料をとらない大家さんも増えており、需給バランスの問題。承知して契約していながら更新時に『無効』と主張するのは、契約社会では違和感を感じる」と語った。【北村和巳】

毎日新聞 2011年7月15日 21時24分(最終更新 7月15日 21時36分)

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