日本株は輸出、素材中心に反発、円安や生産復旧好感−午後じり高(1) (Bloomberg.co.jpから引用)

どこまで円が安くなり、株が高くなるのか。その先は、崖を落下するようになることはないのか。用心、警戒の時期に突入。

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3月30日(ブルームバーグ):東京株式相場は反発し、午後はじり高の動きを見せた。海外景気の回復を背景とした為替市場での円安進行に加え、製造業の生産復旧、復興需要への期待が追い風となり、電機や自動車などの輸出関連株、非鉄金属や化学、繊維など素材株中心に上げた。主力拠点が一部操業の日立製作所は大幅高。

  TOPIXの終値は前日比15.88ポイント(1.9%)高の866.09、日経平均株価は249円71銭(2.6%)高の9708円79銭で、ともにこの日の高値引け。

  損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの中尾剛也シニアインベストメントマネジャーは、「日本の景気は2000年代に入ってからは外需が左右してきた」と指摘した上で、「海外景気動向や供給不足解消をにらみながら、日本株は海外株との間にできた震災後の断層を埋めて行く可能性がある」と話した。

  世界経済の回復傾向に伴い、欧米の中央銀行が景気刺激策を解除する時期が近づいているとの観測から、外国為替市場では円売りが加速した。東京時間午後には、円が対ドルで一時83円1銭と11日以来の円安水準となり、午後の株価指数は一段高となった。震災による影響で日本企業の部品供給が滞り、調達先が海外企業にシフトする懸念がある中で、「円安は日本の国際競争力を引き続き担保してくれることになる」と、SBI証券の鈴木英之投資調査部長は言う。

  ブルームバーグの事前調査によると、4月1日に予定される米国の3月雇用統計での非農業部門雇用者数は、19万人の増加が見込まれている。日本は巨大地震の突発的な影響を受けた半面、米国景気の回復は鮮明になりつつある。日興コーディアル証券エクイティ部の西広市部長は、「リーマン・ショック後のように、世界全体が不況に陥った状況と今回は違う」と指摘している。

          生産復旧へ各社が一歩

  一方、米原子力規制委員会(NRC)のボーチャード運営総局長は29日、福島第1原子力発電所の状況が「引き続き一段と安定化している」との認識を示した。原発に対する不安がやや和らぎつつあることで、株式市場でも正常化を模索する動きとなっている。

  その1つが、企業の生産能力の復旧期待だ。主力拠点が一部操業再開の日立製作所は大幅高で、いわき工場が6月上旬にはフル操業に戻れる見通しの日産自動車も反発。きのう午後に急伸したルネサスエレクトロニクス以後、そうした流れは強まっている。ちばぎん証券の大越秀行株式部長は日立株について、「震災の影響が大きい地域に主力工場を配備しており、最悪の事態を織り込んで売り込まれたが、業務再開の動きが見え始め、買い戻しが入っている」と話していた。

  東証1部業種別33指数では、非鉄や精密機器、電機、化学、輸送用機器、繊維など輸出や素材関連が値上がり上位を占めた。「素材株には復興需要への期待も出ている」と、SBI証の鈴木氏。このほか、シャープや京セラ、三菱重工業など原発に代わる代替エネルギー関連株も総じて高かった。一方で電気・ガス、銀行などは引き続き売りが優勢だった。国有化懸念のくすぶる東京電力は、連日で制限値幅いっぱいのストップ安。

  東証1部の売買高は概算で31億382万株、売買代金は同1兆8044億円。値上がり銘柄数は1395、値下がりは210。国内新興市場は、ジャスダック指数が前日比0.6%高の51.13、東証マザーズ指数は0.9%高の449.33と堅調な値動きだった。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 Toshiro Hasegawa thasegawa6@bloomberg.net

更新日時: 2011/03/30 15:51 JST
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