円債利回りが半年ぶり高水準、株式への資金シフトも(REUTERSから引用)

年明け新春には、結構調整があるかなあ。

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[東京 8日 ロイター] 8日の東京市場では、米長期金利の大幅上昇を受け、10年国債利回りが約半年ぶりの高水準に達する一方で、日経平均が7カ月ぶりの高値をつけた。債券相場の値崩れで、投資家の資金が株式市場へシフトするとの見方も出ている。 
 ドル/円は米長期金利上昇を受け、前日のニューヨーク市場で83円台半ばまで上昇。アジア時間に入ってもその地合いを引き継ぎ堅調となった。午前11時前に北朝鮮砲撃のニュースが伝わると、一時83.73円付近まで上値を伸ばし、5日ぶりの高値をつけた。

 <株価は7カ月ぶり高値>
 日経平均は反発。3日の直近高値を抜き、取引時間中としては約7カ月ぶりの高値水準をつけた。「ブッシュ減税」の延長やアイルランドが2011年予算に関する最初の財政決議案を可決したことが好感され買いが先行した。市場筋によると欧州系やアジア系など海外勢の買い観測が出ている。
 米市場ではインフレや政府の債務負担への懸念が広がり、米国債利回りが上昇、ドル高とともに米株の重しとなったが、日本株にとって円安はプラス材料。
 「減税延長で米富裕層の消費拡大が期待できることもあり、円高懸念で売られていた輸出株が買い戻されそうだ」(大和証券キャピタルマーケッツ金融証券研究所・投資戦略部次長の西村由美氏)との声が出ていた。
 長期金利が上昇していることについても、市場では「債券価格が大きく下落しており、株式への資金シフトも期待できる。長期金利1.2%程度の水準であれば経済への影響は限定的であろう」(大手証券情報担当者)と現時点ではポジティブに受け止める声が多い。
 東海東京証券エクイティ部部長の倉持宏朗氏は「ドル高・円安を受けて指数寄与度の高い輸出株が買われている。連日でアジア勢の買いが目立っている。金融引き締め懸念などで新興国から日本への資金シフトが続いているようだ。ただ国内勢の売りが継続して出ている。SQを控えていることもあり、1万0250円のオプション権利行使価格の水準ではいったん上値を抑えられている」と述べている。

 <円債利回りは半年ぶりの高水準>
 午前の円債市場では、海外で長期金利が大幅に上昇した流れを受けて、円債でも各ゾーンの金利に強い上昇圧力がかかった。
 「ブッシュ減税」の延長でインフレや政府の債務負担への懸念が広がり、米国債利回りが上昇したこと、アイルランドが2011年予算に関する最初の財政決議案を可決し、欧州財政不安が一時的に収束していることなど、金利をめぐる環境の変化が、国内長期金利の上昇圧力を醸成した。
 10年物国債利回りは一時、前営業日比4bp上昇の1.210%と、6月22日以来約半年ぶりの高水準となった。あす入札を控える5年債金利にも業者の調整売りから上昇圧力がかかったほか、前日に30年債入札がやや不調となった超長期ゾーンにも売りが継続している。
 日興コーディアル証券・チーフストラテジストの末澤豪謙氏は「基本的に国内の最終投資家は押し目買いスタンスだが、前日の30年債入札がやや低調だったことから判断して相場は下値を探る局面が続く可能性がある」とみている。

 国債先物の中心限月12月限の前引けは、前営業日比53銭安の140円68銭。 
 他方、国内要因はむしろ金利低下を示唆している。
  内閣府が発表した10月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比1.4%減の7457億円となった。2カ月連続の減少。市場予想をやや下回った。
 「非製造業の前月比較のマイナス幅が大きく、先行きの景気回復が見込みにくい中、内需関連がさえないことがわかる」とみずほ証券のマーケットエコノミスト、土山直樹氏は言う。
 製造業では、電気機械が大幅な増加となったが、これはエコポイント制度の駆け込み需要の結果だ、と同氏は指摘し、「これを除くと、機械受注全体で見ると大幅なマイナスになるので、設備投資意欲への期待が全般的に後退する見込みだ」との見方を示した。 

 <ドルは続伸>
 午前の外為市場はドル/円が83円台半ばからじり高となり、一時は3日の11月米雇用統計発表直前の水準まで上昇した。日経平均が寄り付きから堅調だったことや、北朝鮮による砲撃のニュースが材料視された。
 ユーロ/ドルは米長期金利上昇によるドル買いや、欧州金融機関への健全性テスト(ストレステスト)実施の情報が意識され、軟調な展開が続いた。
 しかし、アジア時間中はさらに上値を追う材料がなく、83.70円付近でもみ合っている。欧米時間には米10年債の入札があり、「仮にもう一段金利が上がるようなら、84円乗せもあるかもしれない」(外為どっとコム総研の植野大作社長)との声が聞かれた。
 米10年債利回りは3.1579%付近で気配。前日から一段高。米長期金利は「ブッシュ減税」延長がほぼ決定したことを受け、前日に今年6月以来の水準に上昇した。財政が悪化する懸念と、景気が上向く期待という「良い材料と悪い材料が混在して金利が上昇している」(第一生命経済研究所の主席エコノミスト、熊野英生氏)という。
 ユーロ/ドルはアジア時間に入ると徐々に水準を切り下げ、1.32ドル前半で取引されている。
 欧州時間ではアイルランド予算可決への期待から、一時1.3401ドルまで上昇。しかし実際に可決されても欧州債務問題に対する懸念は根強く、米長期金利上昇でドルが買われたこともあり、その後は1.33ドルを割り込んだ。
 「懸念材料はたくさん残っている。ここからユーロが大きく上がるのは難しい。短期的にはきのうの高値1.34ドルくらいが上値のめどだろう」(国内金融機関)との声が聞かれた。
 アイルランド議会は来年度予算に関する最初の財政決議案を可決。欧州連合(EU)財務相国際通貨基金IMF)とEUによる総額850億ユーロの同国支援策を正式に承認した。
 (ロイター日本語ニュース 金融マーケットチーム)
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