GPS衛星:「みちびき」11日打ち上げ 位置精度ピタリ(毎日jpから引用)

アメリカからの独立に向けて、少しずつ準備を進めているのか。

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国産初のGPS(全地球測位システム)衛星となる準天頂衛星システム「みちびき」が11日、打ち上げられる。みちびきはどうすごいのか。打ち上げで何かが変わるのか。【岡礼子】
 GPSは、人工衛星が発信する信号を受信して位置を特定するもの。現在は米国衛星を利用してサービスが提供されている。カーナビや子供の居場所確認のほか、北海道などの広大な耕地でトラクターを自動走行させるなど、年々用途が広がっている。
 みちびきと既存の衛星との連携により、位置情報の精度は飛躍的に向上する。現在は約10メートルある誤差が、低速のトラクターでは2、3センチにまで縮小する。農業情報工学が専門の野口伸北海道大学教授は「今は、防風林や建物の陰でトラクターの位置が分からないこともあるが、みちびきが利用できれば信頼性が高まる」と期待する。
 遭難事故防止や災害時の緊急情報など防災分野での活用も有力だ。宇宙航空研究開発機構JAXA)の寺田弘慈プロジェクトマネジャーは「谷間や山の陰などでも正確な位置が分かり、電波の届く場所を探せる」と話す。
 ただ、問題は費用。みちびきは研究開発費、打ち上げ費用など735億円の経費がかかる。1日8時間しか日本の上空にとどまることができない。24時間の利用にはあと2基の打ち上げが必要だ。
 しかし、GPSサービスの提供企業はシステムの再構築を迫られるため、関心は必ずしも高くない。車載機器メーカーのクラリオンによると、カーナビは走行距離や地図データなどの情報を加味して現在地を特定し、GPSだけに依存していない。防犯サービスを提供する企業からも「今のGPSで特に支障はない」との声がある。
 一方、位置情報は今や重要なインフラであり、自国で運用すべきだとの主張も根強い。米国は現在、無料でGPS利用を認めているが、安全保障問題のシンクタンク、ディフェンス・リサーチ・センターの玉真哲雄専任研究委員は「有事の際は周辺地域への提供は中断する可能性がある」と話す。通信や金融取引に不可欠な時刻情報もGPSで補正しており、利用できない時の被害は甚大。ロシアはすでに21基を運用し、欧州、中国も実験中だ。
 現状は「成果が上がれば、さらに2基の打ち上げを検討する」(政府の地理空間情報活用推進基本計画)。このためみちびきの活用方法を考えようと、衛星測位利用推進センター(SPAC)は、道路交通システムや鉄道、農業など43グループ、約100社・機関が参加する実証実験を予定している。自動車の走行車線を検知してガイドしたり、逆走を防止する交通システムなどが検討されている。
 「まずこの1基で、みちびきの利点を感じてほしい」と寺田プロジェクトマネジャー。人気漫画「ドラえもん」で、未来の道具を手渡されたのび太君のように、新技術をどう使うかが問われている。
 ◇みちびき
 03年に開発が始まり、11日にH2Aロケットで打ち上げ予定。重さ4トン、太陽電池パネルを広げた全長は25.3メートル。23時間56分ごとに同じ位置に戻る。
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毎日新聞 2010年9月3日 12時41分(最終更新 9月3日 13時25分
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