欧州不透明でも日本株に2つの安心材料(日本経済新聞から引用)

なんだかんだいって、夏前までは、このまま行ってしまうのだろうか。

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 18日の東京株式市場では日経平均株価/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EBE2E4EBE2E3E5E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXが前週末比340円安の1万2220円と、3営業日ぶりに大幅反落した。売りのきっかけはキプロス支援という「伏兵」。欧州債務問題の不透明感が強まり、円の対ユーロ/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5EBE7E5E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX、対ドルでの上昇とあいまって利益確定売りが広がった。預金者から課徴金を徴取するという異例の発表が欧州の金融システムにどのような影響を及ぼすかは読みづらいが、安倍晋三政権の経済対策への期待と米国景気の持ち直しという日本株の支援材料は変わらない。「中期的な株高基調に黄信号がともる」との見方は、今のところそれほど広がっていない。

 日経平均は上昇基調が始まった昨年11月半ば以降、週間ベースで下落したのは1週しかない。相場の過熱感も意識され、「利食い売りが出やすい局面だった」(国内投資顧問)。ただ日本株を支える「2つの安心材料」については、足元で揺らいでいない。アベノミクスでいえば黒田東彦新総裁の就任で日銀は積極的な金融緩和策を打ち出すとの観測が強まっており、米国では雇用や個人消費について明るい材料が目立ち始めた。

 米国に関してはシェールガス/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE1E4EAE1E1E6E0E2E0EAE3E3E0E2E3E39BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX革命も見逃せない。素材原料やエネルギーのコストを引き下げる効果があり、米製造業の国内回帰への追い風になっている。米国内での生産が上向き雇用の回復につながれば、米国が主戦場の日本企業にとってのメリットも大きい。

 欧州の債務問題を背景に円が対ユーロで買われやすくなっても、日銀の緩和強化と米国の景気持ち直しで円は対ドルで売られやすい状態が続くため、円は全体では上値が限られそうだ。仮に欧州不安で現在の実勢レート(1ドル=95円前後、1ユーロ=123円前後)より円高の1ドル=90円、1ユーロ=120円程度に上昇したとしても、1年前に比べれば対ドルで7円、対ユーロで10円の円安という「貯金」がある。日本企業は円下落の恩恵を受けることに変わりはない。
円安の恩恵の第1は収益改善だ。自動車や電機、機械など主力輸出企業30社では、円相場が1ドル=90円、1ユーロ=120円まで上昇しても為替要因が13年度の営業利益/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EBE7EAE2E2E3E5E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXを計1兆5000億円押し上げる計算。見逃せないのは財務体質の改善だ。円安は外貨建て資産の評価を押し上げる効果がある。会計ルールでは海外子会社などの資産取得時の為替レートによる価値と決算期末の時価レートによる価値の差を貸借対照表/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EBE3E1EAE2E3E5E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX(バランスシート)に反映させる。この価値の差は「為替換算調整/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EBE7E7EAE2E3E5E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX勘定」として自己資本を構成する要素になっており、為替換算調整勘定が改善すれば自己資本の増加につながる。
実際、3月期決算企業(金融・電力・新興2市場除く1664社)の為替換算調整勘定のマイナス額は、円安進行で昨年12月末時点で約11兆3000億円と、昨年9月末に比べて約3兆1000億円改善した。12月末の為替レートが対ドルで9円、対ユーロで15円、円安に振れたためだ。12月末の自己資本は9月末比約8兆3000億円改善しているが、改善幅の4割近くが為替換算調整勘定分によるもの。仮に3月末の円相場が対ドルで90円、対ユーロで120円でも、自己資本は一段と増加する可能性が大きい。

 円安による利益の改善と財務体質の強化は企業の投資意欲を高める効果がある。ニコンは13年度、円安で得られる原資を元手にカメラ用部材などの生産体制を効率化するための投資拡大を検討している。コニカミノルタホールディングスは新製品開発の投資に充てる考え。オリンパスも世界シェア7割の内視鏡など医療事業での増産など医療シフトを加速させるもよう。キヤノン御手洗冨士夫会長兼社長は「円安が進めば(企業の)投資意欲が高まり、企業の競争力向上につながる」と強調する。企業の競争力向上は、欧州不安による業績悪化に歯止めをかける要因になる。

 キプロス問題に加えイタリアの政局も不透明で、欧州経済に対する不安心理は根強くくすぶる。ただ、円高の修正と米回復への期待は大きく、新年度を迎えるにあたっての経営環境は1年前から格段に改善している。13年度はこうした2つの安心材料をテコに、成長回帰に転じる節目の年になりうる可能性もある。

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