日銀総裁候補・黒田氏:物価目標実現へデリバティブの活用も検討 (Bloomberg.co.jpから引用)

日本国債が暴落しないよう、方向転換できるのだろうか。

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3月11日(ブルームバーグ):政府が次期日本銀行総裁候補として国会に提示した黒田東彦アジア開発銀行総裁は11日午前、参院議院運営委員会で所信聴取に臨み、日銀が掲げる物価上昇率2%の目標を「1日も早く実現することが何よりも重要な使命」とあらためて述べた上で、具体的施策としてスワップ取引などのデリバティブ金融派生商品)の活用も検討する姿勢を示した。

黒田氏は「日銀はこれまでもいろいろな措置を取ってきたのは事実だが、15年続いたデフレを是正できなかったことという意味では、明らかに不十分な金融緩和だった」と言明。「現時点の日銀の金融緩和の状況では2%の物価安定目標を早期に実現することは難しいと思うので、当然、さらなる金融緩和が必要だ」と語った。

具体的には、「国債についてどんどん長期を購入していって、長期金利への影響を強めていかなければならない。あるいは、民間の資産についても、リスクプレミアムが過大なところは縮める。そういう意味では量的、質的に大胆な金融緩和をしていく」と述べた。

さらに、具体的施策の一環として「スワップ、その他のデリバテイブ市場に出ていくのがいいのか、よくないのか、いろんな議論があるが、十分ご提案をうかがい検討していく」と述べた。

必ずや実現する          

また、「金利引き下げの余地が乏しい現状では、市場の期待に働き掛けることが不可欠だ」と表明。総裁就任後は「市場とのコミュニケーションを通じて、デフレ脱却に向けてやれることは何でもやるという姿勢を明確に打ち出していきたい」との考えをあらためて示した。

その上で、2%の物価目標は「必ずや実現するというつもりでいる」と言明。「2%の物価 安定目標の実現は日本銀行総裁に課された最大の使命であり、それを果たさなければならないし、私は任命されたら必ず果たす」と表明した。総裁就任後の政策については「スピード感は非常に重要だ」としながらも、「就任していない段階で、最初の会合でどのようにするかは申し上げる状況ではない」と語った。

日銀当座預金の超過準備に適用される0.1%の付利の引き下げ、ないし撤廃については「短期金融市場が機能しやすいというメリット」がある一方で、「短期金利が実際にゼロになることを妨げている」「金融緩和をより進めるためには障害になっている」「ゼロにするどころかマイナスにすべきだ」など、賛否両論あると指摘。その上で、「現時点で直ちに付利を下げるとか、マイナス金利を付けるとかは考えてないが、十分議論されるべきだ」と述べた。

方向性が間違ったら「大胆に変化」

自身の方向性が間違っていると考えられたら、持論を捨てて方向転換する勇気はあるか、と問われ、「もとより、そういった覚悟でいる」と言明。「経済の実態、金融の状況が変化すれば、当然、政策も大胆に変化させていくことになる」と述べた。

さらに、「2%の物価安定目標自体が簡単に変わるとは思わない」とした上で、「2%を上回ることも、下回ることも望ましくないので、当然、経済・金融の実態に応じて、機動的に政策は決定されなければならないと思っている」と語った。

この日で東日本大震災から2年が経過することに関連し、「いまだ復興が完全に実現したわけではなく、経済に傷痕が残っているのは事実であり、日銀としてもそういうものへも十分な対応を考えていかなければならない」とも述べた。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net

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更新日時: 2013/03/11 13:47 JST
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