日銀は「消化試合」で現状維持へ、「ゼロ回答」はあり得ない4月会合 (Bloomberg.co.jpから引用)

さて、どうなることか。

引用開始
3月5日(ブルームバーグ):日本銀行が6、7日に開く金融政策決定会合は、政策の現状維持が見込まれている。白川方明総裁をはじめ現正副総裁にとっては今回が最後の会合。新体制の下で開かれる4月以降の会合で、安倍晋三首相が唱える大胆な金融緩和がどのような形で実行に移されるかに関心が高まっている。

ブルームバーグ・ニュースが有力日銀ウオッチャー13人を対象にした調査では、全員が現状維持を予想した。SMBC日興証券の岩下真理債券ストラテジストは「白川総裁最後の金融政策決定会合は昨秋以降の4回の追加緩和の累積効果を見守り、静かに終わるだろう。市場の関心事は新体制による新たな追加策に移っており、消化試合の3月会合の現状維持は既定路線だ」としている。

政府は、アジア開発銀行(ADB)総裁の黒田東彦氏を日銀総裁候補、学習院大学岩田規久男教授を副総裁候補として提示した。岩下氏は「積極的な緩和論者2人の起用で、市場では大胆な金融緩和への期待が強まり、初会合となる4月3、4日の会合ではゼロ回答はあり得ない雰囲気になりつつある」という。

黒田氏は4日午前、衆院議院運営委員会で所信聴取に臨み、「金利引き下げの余地が乏しい現状では、市場の期待に働き掛けることが不可欠だ」と指摘。「もし私が総裁に選任されれば、市場とのコミュニケーションを通じて、デフレ脱却に向けてやれることは何でもやるという姿勢を明確に打ち出していきたい」と表明した。

日銀券ルールも見直し対象に

具体的には「長期国債の買いオペについては残存期間1年から3年を対象にしているが、国債は5年や10年のものもあるので、1年から3年に限る必要はない。もっと長いものも買うことを検討していく」と言明。13年末までに資産買い入れ等基金を101兆円に、14年以降に期限を定めず毎月買い入れを続けていく方式(オープンエンド方式)については「前倒しの件は当然検討することになる」と述べた。

日銀の保有長期国債が日銀券を上回らないようにするルールも見直しが「当然検討対象になる」と表明。「何か聖域を設けて検討しないということはない」とした上で、「あらゆる手段を講じてできるだけ早期に目標を達成する」と繰り返した。もっとも、外債購入に関しては「大量に買うことは国際ルールからも難しい」と語った。

シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「新体制の下での政策運営は現体制とは異なり、足元の景気動向とはほとんど関係なく2%の物価目標達成を目指して行われることになろう」と指摘。「新体制下での初会合となる4月3、4日会合で、追加緩和措置が打ち出される可能性が高い。金融市場に対して主導権を握るためには、4月26日の会合を待つことのリスクは高いだろう」とみる。

当面、出口政策はタブーに   

具体的な追加緩和措置として、エコノミストの間では、資産買い入れ等基金における長期国債の買い入れについて、①現在44兆円としている13年中の買い入れの拡大②14年以降に導入するオープンエンド方式の買い入れの前倒し③現在1年以上3年以下としている残存期間の長期化−を予想する声が多い。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「年限を10年まで長期化すれば国債購入規模はさらに拡大可能となる。購入年限の長期化で将来の出口は極めて困難となるが、当面は出口を語ることはタブーといった『空気』になるかもしれない」という。実際、黒田氏は「今はデフレが15年続いているので、大胆な金融緩和をすることが第1義的に必要だ」と述べ、出口政策は時期尚早との見方を示した。

さらに、日銀券の伸びに合わせて行っている輪番オペや、日銀券ルールの見直しも俎上(そじょう)に上るとみられている。東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジストは基金の増額や買い入れる資産の拡大、年限の長期化に加え、輪番オペの増額や日銀券ルールの一時棚上げが「優先される選択肢だ」と指摘する。

時間軸政策も見直しへ

時間軸政策も見直しの対象となる可能性がある。河野氏は「オーバーナイトの将来予想経路の水準を引き下げるべく、フォワード・ガイダンス(時間軸政策)の強化も行われる可能性も高い」と指摘。具体的には「『2%インフレが視野に入るまでゼロ金利政策を続ける』など、従来以上に踏み込んだ方針が示されると見られる」という。

4日の所信聴取では、日銀当座預金の超過準備に適用される0.1%の付利については何の言及もなかった。東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト「付利の引き下げ・撤廃の可能性は排除できないものの、それは資産買い入れ等基金の積み上げを難しくするため、円高局面が来るまでは様子見か」としている。

================================================================◎利上げ予想時期は次の通り(敬称略)【2015年7−9月以降】BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト信州大学の真壁昭夫教授【2015年10−12月以降】みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト【2016年1−3月以降】SMBC日興証券の岩下真理債券ストラテジスト、東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジスト、クレディスイス証券の白川浩道チーフエコノミスト野村証券の松沢中チーフストラテジスト(レンジ誘導停止)、シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト、バークレイズ証券の森田長太郎チーフストラテジスト【2016年4−6月以降】三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジスト、東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト、JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミスト第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト===============================================================無担保コール翌日物金利の予想は以下の通り(敬称略50音順)

   13 13 13 13 14 14 14 14
           3末 6末 9末 12末 3末 6末 9末 12末

                                                                                                                        • -

調査機関 13 13 13 13 13 13 13 13
中央値 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
最高 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
最低 0.10 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

                                                                                                                        • -

三菱UFJ・MS 石井   0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
SMBC日興証 岩下  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
みずほ証 上野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東短リサーチ 加藤 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
JPモルガン証 菅野 0.10 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05
第一生命経研 熊野 0.10 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00
BNPパリバ証 河野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東海東京証券 佐野   0.10 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05
クレディS証 白川 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
信州大 真壁 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
野村証 松沢 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
シティG証 村嶋 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
バークレイズ証 森田  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10

  (注)無担保コール翌日物金利の予想の0.10%は政策金利「0.0−0.1%」の現状維持。アンケート回答期限は4日午前8時。「日銀サーベイ金利予想、経済・物価情勢、金融政策の展望コメントを5日朝に送信しました。ブルームバーグでは、回答者を拡大したサーベイも実施しています。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/03/05 00:00 JST
引用終了