購入者の身辺調査徹底を−オバマ大統領、規制法案の作成指示 (WSJ日本版から引用)

徐々に進むアメリカの刀狩。

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【ワシントン】オバマ米大統領は19日、全ての銃購入者を身辺調査の対象にすべきだと述べるとともに、銃所有と国民のメンタルヘルス(精神衛生)に関する法律の改正を目指す取り組みを「遅滞なく」推進すると強調し、場合によっては銃所持の権利を擁護する人々との対決も辞さない姿勢を示唆した。
同大統領はホワイトハウスで、「今回は言葉が行動につながらなければならない」と述べ、コネティカット州の小学校での銃乱射事件以降の発言の中で最も具体的な提案を行った。同大統領は「この問題が複雑だということは、もはや何もしない言い訳にはならない」と付け加えた。

  同大統領の求めるように、全ての銃購入者を対象にした身辺調査が実現すれば、法律の抜け穴が閉じられることになる。これは銃規制支持派から長年要求されてきた一方、銃所持権を擁護する人々からは反対されてきた。現在、銃の見本市などでは、個人が身辺調査なしに他人に銃を売り渡せる。これについて銃規制支持派は、銃が間違った人の手に渡るのを可能にしていると指摘している。

 また、同大統領は、殺傷力の高い武器を禁止する法案を成立させ、軍用スタイルの銃が市中に出回らないようにしたいと述べた。

 同大統領は、バイデン副大統領が指揮を取り、議員、閣僚、それに関連団体から、どうしたら銃暴力を防げるかといった考えを募る計画であることを明らかにした。

  この発言の5日前には、コネティカット州ニュータウンの小学校で銃が乱射され、子ども20人を含む26人が犠牲になった。容疑者は銃乱射後に自殺した。事件後、銃とメンタルヘルスに関する法律の見直しを求める声が広範囲に広がっている。同大統領は早急な対応を求める声に理解を示した形だ。この日もニュータウンで、犠牲者の葬儀が行われた。

 同大統領はバイデン副大統領や閣僚に対し、遅くとも来年1月までに具体的なアイデアを示すよう求めると述べ、その後、この提案を「遅滞なく」押し進めると強調した。そして、法案が提出され次第、連邦議会が早急に採決を行うよう促した。

  また、同大統領は議会がアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)の局長を承認していないことを非難した。同ポストは6年間空席になっている。 ATFは違法な銃器が犯罪者の手に渡るのを防ぐ活動をしている。同大統領は新局長の承認が来年の議会の最重要課題の一つになるべきだと述べた。

  バイデン副大統領は、銃とメンタルヘルスに関する法律の改正案を成立させる上で不可欠な人物かもしれない。同副大統領は上院議員として数十年やってきた経歴を持ち、オバマ氏が議会から支持を集める際に頼りにしている人物だからだ。オバマ大統領は、今回の銃改正論議でバイデン氏を起用したのは、同氏が起草した1994年成立の犯罪法が暴力の減少につながったためでもあると語った。

 オバマ大統領は、米国が「あまりにしばしば銃と暴力を崇高化する」文化を是正する必要があると述べ、「われわれの取らなければならないいかなる行動も、それぞれの家庭、そして心の奥底から始まらなくてはならない」と付け加えた。

  ホワイトハウスは18日、銃所持権を強く支持するジョー・マンチン上院議員(民主、ウェストバージニア州)と電話会談を行ったことを明らかにした。同上院議員によると、同上院議員オバマ大統領は「米国民かつ親として、われわれの全ての子どもがわれわれ全てに属しており、大切な子どもたちを守るために協力しなければならないとの見解で一致した」という。

  マンチン議員は「全米ライフル協会(NRA)に所属する人々や、憲法修正第2条を擁護する人々も、そのような取り組みに参加するだろう。なぜなら、ニュータウンの遺族のことを考えると、彼らも全ての米国民と同じように心を痛めているからだ」と述べた。

  オバマ大統領の過去4年間の任期中、銃乱射事件が何度か発生している。同大統領は以前、銃が間違った人の手に渡らないようにする措置を求めたが、結果として状況はほとんど変わっていない。同大統領自身が銃規制について本格的な行動を取っていないのではないか、との記者団からの質問に対し、コネティカット州の乱射事件があらゆる人に対する警鐘を鳴らすものだと答えた。

 NRAは今週、事件発生以降保ってきた数日間の沈黙を破り、銃乱射事件が今後起こらないようにするために「意味ある貢献をしたい」と述べた。NRAは米国で最強のロビー団体の1つで、21日に記者会見を開くことを発表した。
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