ユーロが対円で7カ月ぶり高値から反落−スペイン情勢に不透明感 (Bloomberg.co.jpから引用)

欧米の雲行きが怪しくなってきた。数か月後には、はっきりズガンと見えてくるのだろう。

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11月26日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、ユーロが対円で7カ月ぶり高値を付けた後、反落した。ギリシャ支援での合意期待を背景にユーロ買いが先行。その後は、海外時間のユーロ圏財務相会合を控えてユーロの買い持ち高を手仕舞う動きが強まった。スペインのカタルーニャ州議会選挙で独立支持派が勝利したこともユーロ売りの手掛かりとなった。

ユーロ・円相場は朝方に一時、1ユーロ=107円14銭と4月27日以来となる107円台に乗せたが、その後反落し、午後には106円26銭まで値を下げた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏は朝方にユーロ・円が107円台を付けたことで、利益を確定するためのユーロ売りが優勢になったと説明。カタルーニャ州議会選での独立派勝利も「予想通りだが、一応利食いの材料にされた可能性がある」とし、ユーロ圏財務相会合でギリシャ向け融資の実行が決まった後は、再びスペイン問題に市場の関心は移るだろうと話した。

ブルームバーグ・データによると、ユーロは午後3時39分現在、主要16通貨のうち14通貨に対して前週末比で下落。一方、円は主要通貨すべてに対して上昇している。

前週末の欧米株式相場は上昇。ドイツのIfo経済研究所が発表した11月の独企業景況感指数が予想に反して8カ月ぶりに上昇したことや米国の年末商戦への期待が買いを呼んだ。26日の東京株式相場 も上昇。ただ、午前後半から伸び悩む展開となり、リスク選好の流れには一服感が広がった。

ドル・円相場は1ドル=82円前半で東京市場を迎えた後、一時82円62銭まで円売りが先行。バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は、仲値に絡んだ円売り需要により、ドル・円、ユーロ・円とも一時的に円安に振れたのではないかと解説した。実際、午前10時前に公表仲値が設定されると円は反転し、午後には82円07銭まで円買いが進んだ。

ユーロ圏財務相会合

ユーロ圏財務相は26日、ギリシャ向け救済融資の次回実行をめぐって今月3度目の会合に臨み、債務返済能力のあるメンバーとしてギリシャが域内にとどまるための詳細な計画を策定する。

ユーロ圏財務相は24日に電話会議を開き、26日の会合の準備を行った。状況を打開するには今月ギリシャの赤字削減目標の達成時期を2年延長したことで生じる財政資金の不足分100億ユーロ(約1兆700億円)の捻出方法が鍵を握っており、救済融資の金利引き下げや救済基金による債券の買い戻し、中央銀行保有するギリシャ国債で生じた利益を充当するなどの案が検討されている。

一方、25日投開票のスペインのカタルーニャ州議会選挙では、独立支持派の政党が勝利した。中央政府のラホイ首相の警告をよそに、分離独立の是非を問う住民投票の実施に向けて弾みがついた。

みずほ証券鈴木健吾FXストラテジストは、ユーロ圏財務相会合を控えて、きょうのところはどちらかというとギリシャ向け支援の合意が注目されるが、カタルーニャ州で独立支持派の政党が勝つなど不透明なところも出てきているとし、情勢次第では「スペインリスク」になってくると指摘した。

また、バークレイズ銀の山本氏は、ギリシャ向け融資合意を期待してユーロはすでに上昇しているため、「実際の合意でどれだけ上がれるかは微妙だ」と指摘。実際、相対的なユーロ圏のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の弱さを考えれば、「ユーロの下落基調が終わったわけではない」と言い、スペインの州議会選挙の結果を受け、今後、同国の地方財政問題などに注目が移る可能性もあると話した。

ユーロ・ドル相場は前週末に一時、1ユーロ=1.2991ドルと10月31日以来の水準までユーロ高が進んだが、週明けの取引ではユーロが軟化。一時1.2944ドルまで値を切り下げた。

日銀政策

日本銀行白川方明総裁は26日、為替相場について「これだけ金融のグローバル化が進行している中で、中央銀行の政策だけで決まるものではない」としながらも、政府の為替介入と併せて、日銀の金融政策は「為替レートに相応の影響を与える」と述べた。名古屋市内での講演後の質疑応答で語った。

白川総裁はまた、午後の会見で、10月30日の金融政策決定会合で、物価1%上昇が見通せるまで金融緩和を続けるとした約束を変更する提案が出たことについて、現在の約束のままでも金融市場は緩和が継続することを十分理解しているとして、現時点でその必要性はないとの見解を示した。この日公表された10月30日の金融政策決定会合の議事要旨によると、佐藤健裕審議委員が政策運営方針の記述について、1%を「見通せるようになるまで」から「安定的に達成するまで」に変更する議案を提出したが、反対多数で否決された。

先週は衆院選後の政権交代で日銀への追加緩和圧力が一段と強まるとの観測や日本の貿易収支悪化を背景に円が続落。22日には対ドルで一時、4月4日以来の円安水準となる82円84銭を付けていた。

山本氏は、自民党安倍晋三総裁が日銀政策に関する発言をトーンダウンさせているにもかかわらず、円安が進んでおり、市場では円安期待が強まっていると指摘。もっとも、「まだ日本の政局リスクも残っているし、米国の財政の問題も包括的な合意が数カ月先送りされるリスクも残っているため、いったん調整が入る可能性はある」と話していた。

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更新日時: 2012/11/26 15:49 JST
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