拡大する中国の消費 世界経済の牽引役となれるか(CNN.co.jpから引用)

何れ、東アジアの覇権国として君臨するのだろう。その前の、米中の衝突がどの程度となるのか。

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香港(CNN) 中国・上海の浦東国際空港へ車で向かい空港から10分くらいの所に差し掛かると、ロールスロイスなどの超高級車を含む車が高速道路の道端にずらりと駐車してあるのが見える。同地の市場調査会社でマネジングディレクターを務めるショーン・レイン氏は、車の購入には100万ドル(約8000万円)も払える人々が、駐車場で2ドルの料金を支払うのを嫌がるとあきれ顔だ。

中国は11月中旬に開催された第18回共産党大会後の中央委員会で習近平(シーチンピン)総書記らを今後10年間の指導者として選出したが、新指導部にとっても、新たに生まれた富というものは経済運営上、厄介な代物だろう。

新指導部にとっての大きな課題の一つが、輸出・投資主導の経済を、国内消費が主導する、より持続可能な成長へと導くことだ。国内消費は、米国では経済の3分の2以上を占めるが、中国では成長してはいるものの経済の3分の1強を占めるに過ぎない。

市場調査会社のレイン氏によると、中国では100万ドル以上の純資産を保有し消費の大きな部分を占めている富裕層は100万人に達し、今後3年間でその数は2.5倍になると推計されている。

しかし、国内消費の成長の鍵を握っているのは、3億5000万人いると推計されている世帯所得が6000〜1万5000ドルの中間層だ。中国政府系シンクタンクは、2020年までに中間所得層が6億人に達すると予測している。

だがレイン氏によれば、そういった人々は米国から見た「真の中間所得層」ではないと指摘する。
レイン氏は、米国では代々工場などで働く人などが中間層としてのアイデンティティーや誇りを持っているのに対し、中国にはそのような中間層は存在せず、皆がより豊かになることを目指していると説明する。

来年3月に国家主席からも退任する予定の胡錦濤(フーチンタオ)氏が先の党大会での演説で認めたように、貧富の格差の拡大といった問題は残っている。その対策として胡主席は、2020年までに1人当たりの所得を農村部でも都市部でも10年比で2倍にするという野心的な目標を掲げた。

中国経済についての著書もあり英オックスフォード大学で教えているカール・ガース氏は、中国での消費拡大が、世界経済の成長をけん引するようになるまで続くのか、それとも、高額な住宅の購入や教育費、医療費などの新たな負担のために持続不可能となるのかがより大きな懸念材料だと語る。

可処分所得の40〜50%にも達している貯蓄を人々が消費拡大に向けられるように、政府は社会保障制度の再構築を目指しているとも同氏は付け加えた。

11年の中国の経済成長の半分以上は国内消費によるものであったが、これは、全国で31ある省の内21省が最低賃金を22%引き上げるなど、政府が一般労働者の所得引き上げに尽力しているためだという。中国人は豊かになって消費を増やしており、10月の小売り売上高は14%もの増加を見せている。

中国での消費拡大は、国内外の企業にとって大きなチャンスだ。消費者は、家電製品などでは外国製を好むともいわれ、中国市場への参入で先行した外国企業は今、大きな利益を上げている。

しかし、外国企業には、成長中の中国国内市場への参入には、「新しい万里の長城」などと呼ばれることもある政府による参入障壁がより大きな懸念材料となっており、国内企業との競争はより困難になっているとの指摘もある。

欧州連合商工会議所が11年に実施した調査によれば、加盟企業の40%以上が09年時と比べて多国籍企業に対する政策が厳しくなっていると考えているという。このために、22%が投資先を中国以外へ移す可能性があると回答している。

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