【今週の米株見通し】米財政協議、ブラックフライデーに注目(WSJ日本版から引用)

物事の流れが切り替わるときは、一気に変わるときもあるが、変わりそうで変わらない状況が続いてそれに疲れてくるころにやっと変わるというときもある。

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【ロサンゼルス】今週の米国株式市場は「財政の崖」回避に向けた議会の財政協議と小売各社が発表する23日のブラックフライデー(感謝祭翌日の金曜日)の売上状況に左右されそうだ。市場は22日が感謝祭の祝日で休場、23日も米東部時間午後1時で取引が終了する。

 22日が祝日に当たるため、「流動性が制約される一週間になりそうだ。つまり、未知数の要因が(市場に)大きく影響するかもしれない、ということだ」とウェルズ・ファーゴ・プライベート・バンク(サンフランシスコ)の副最高投資責任者のエリック・デビッドソン氏は述べた。
中東情勢が緊迫化した場合を除き、最も市場に影響しそうなのが「財政の崖」をめぐる議論の進捗状況だ。合意が成立しなければ、来年1月に増税と歳出削減が米国経済にのしかかることになる。16日には、議会幹部がこの問題についてのオバマ大統領との協議を「建設的だった」と評価したことから、S&P500種指数とダウ工業株30種平均は反発した。

 デビッドソン氏は「楽観論が浮上していることや協力の機運が高まっていること、議論が熟していることを示す手かがりを市場は十分拾い上げることができそうだ。投資家はこうした手がかりを敏感に察知する必要がある」と述べた。

 今週はオバマ大統領がアジア歴訪で不在。議会も感謝祭に伴う休会期間に入る中で、交渉担当者が財政の崖問題について協議する予定。米連邦準備制度理事会FRB)のバーナンキ議長は20日にニューヨークで景気回復と政策について講演を行う予定で、同議長が財政の崖を巡る協議に言及するかどうかに注目が集まるものとみられる。

 海外では、ユーロ圏の財務相20日に会合を開き、ギリシャ向けの次回融資について合意するものとみられる。22日には11月の中国の製造業関連統計が公表される。

 米国内では、19日に10月の米中古住宅販売と11月の米住宅建設業者指数、20日に10月の米住宅着工件数と、週明けから住宅関連統計が続けて発表される。20日には、家電販売チェーン大手のベストバイや主要ハイテク企業のヒューレット・パッカードが四半期決算を発表する。11月の米ミシガン大消費者信頼感指数(確報値)は21日の発表。本格化するクリスマス商戦の売上状況も公表される見通し。
ブラック・サーズデー

 小売業では、ホームセンター大手ロウズとアパレル小売りチェーンのアーバン・アウトフィッターズが19日に四半期決算の発表を行う。

 ファクトセットが16日に発表したリポートによると、カギとなる第4四半期は小売業の中でもアパレル業界の伸びが最も高いと予想されている。アバクロンビー・アンド・フィッチ、ギャップ、リミテッド・ブランズ、ロス・ストアーズ、TJX、アーバン・アウトフィッターズのアパレル各社では利益が2桁台の伸びを記録するとみられる。アーバン・アウトフィッターズの利益は92%増と予想されている。

 感謝祭の22日から多くの消費者が買い物に繰り出すことが予想されるため、大手小売りチェーンのウォルマート・ストアーズやターゲットなどはブラックフライデーの営業開始時間を前倒しする。

 23日の株式市場は米東部時間午後1時で取引が終了するため、小売業界からどのようなニュースが飛び出すにせよ、投資家が反応するにはしばらく時間がかかりそうだ。

 16日の取引では、主要株価指数は前日比では反発したものの、パレスチナ自治区のガザを実効支配するハマスの幹部が殺害されるなど中東情勢が緊迫化したことなどを受けて、前週末比でマイナスだった。

 ユーロ圏が再び景気後退期入り、米国ではハリケーン「サンディ」の影響が製造業の統計に表れ始めたことから、世界の成長をめぐる懸念も注目を集めている。

 キャピタル・エコノミクスの上級マーケットエコノミストのジョン・ヒギンズ氏は16日、顧客に対して「(財政の崖をめぐる)合意が成立するまでは(株式には)下押し圧力がかかりそうだ」と述べた。何らかの合意が成立すれば、多少の安心感が生まれるかもしれないが、ヒギンズ氏は「国内経済が依然として低迷しており、ユーロ圏では近く、債務危機が再燃する可能性があるため、株価が反発しても長続きすることはなさそうだ」と述べた。

 財政の崖を回避するための合意を急ぐよう米議会に求める声が高まっている。前FRB議長のアラン・グリーンスパン氏は16日、協議が失敗に終われば、市場は大きく下げるとの見方を示した。

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