陸山会事件:小沢氏、2審も無罪…東京高裁判決(毎日jpから引用)

官僚が国民の代表である議員を貶めることは許されない。当然の判決であろう。

引用開始
資金管理団体陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた「国民の生活が第一」代表、小沢一郎被告(70)の控訴審判決で、東京高裁は12日、1審の無罪判決を支持し、検察官役の指定弁護士の控訴を棄却した。小川正持裁判長は、「(1審が)無罪を言い渡したのは正当として是認できる」と述べた。指定弁護士側は2週間以内に上告するか否かを判断するが、憲法違反などの要件を満たすのは困難とみられる。

 控訴審の争点は▽04年の土地購入時に代表が提供した4億円を記載せず、土地購入についても04年ではなく05年に先送りした陸山会の04、05年分政治資金収支報告書の記載内容は虚偽か▽代表は記載が虚偽と認識していたか−−など。

 高裁判決は土地の「資産」としての記載先送りについて、秘書だった石川知裕衆院議員が05年1月に土地登記を先送りしたことで実際の取得時期も先送りできたと思い込んでいた可能性に言及。「1審の判断は論理則・経験則などに照らし不合理」と指摘し、この件での虚偽記載の故意を認めなかった。4億円の簿外処理については「1審の判断はおおむね是認できる」とした。

 石川議員が代表に事実と異なる説明をしたとされる点については「実際には改めて報告しなかった可能性がある」と判断。代表が記載を虚偽と認識していなかったとした1審の判決に影響を及ぼす事実誤認はないとした。

 閉廷後、記者会見した主任弁護人の弘中惇一郎弁護士は「極めて常識的で予想以上の判決。小沢さんだけでなく事件全体で犯罪がないと言っている」と述べた。【鈴木一生、和田武士、島田信幸】

 ◇解説…強制起訴、功罪議論を

 小沢代表を1審同様、無罪とした東京高裁判決は、検察官役の指定弁護士による追加の証拠請求が全て却下されていた以上、予想された結果だ。検察審査会の2度にわたる「起訴すべきだ」との議決ではなく、東京地検特捜部の不起訴判断に軍配が上がった形だが、一連の裁判は「功罪相半ば」という評価が妥当ではないか。

 「罪」とは小沢代表が疑問視したように、捜査のプロである検察が容疑不十分で不起訴にした事件が非公開の検察審査会でやり取りされた「民意」で一転し、被告の身に立たされた点だ。これまで全国で6事件が強制起訴されたが、比較的証拠が集まっていたとされる代表の裁判で重ねて無罪が出たことで、制度の存在意義も問われる。
とはいえ、今回の裁判に「功」がなかったわけではない。国会での説明を拒み続けた代表が「収支報告書は一度も見たことがない」と法廷で供述。「秘書任せ」の姿勢が鮮明になり、1審判決は「信用できるものではない」と断じた。

 検察関係者への尋問などで特捜捜査の危うさも浮かんだ。実際にはないやりとりを記した捜査報告書が作成され、取り調べは「代表側に裏献金が流れた」との見立てに固執していた。不起訴のままでは、こうした事実は表面化しなかった。

 指定弁護士が最高裁まで持ち込む公算は小さいとみられるが、この裁判で生じた功罪についての議論が必要だろう。【鈴木一生】

 ◇陸山会事件◇

 民主党元代表で現「国民の生活が第一」の小沢一郎代表の資金管理団体陸山会」が04年10月、代表提供の4億円を元に土地を購入しながら同年分の政治資金収支報告書に記載せず購入の事実だけを翌05年分にずらして記載したとされる事件。10年に東京地検特捜部が石川知裕衆院議員ら元秘書3人を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕、起訴(1審有罪、控訴中)。小沢代表は不起訴となったが、東京第5検察審査会の議決に基づき、検察官役の指定弁護士が11年、強制起訴。東京地裁は今年4月、無罪を言い渡し、指定弁護士が控訴した。
引用終了