トヨタが中国、日本で生産調整―需要鈍化受け 懸念される実体経済への波及(WSJ日本版から引用)

お金は後で稼ぐことができる。言いがかりにより領土を明け渡すようなことを財界がすれば、あとで自分たちの会社自体を取られることになりえるだろう。
中国が頭を冷やすまでは、武士は食わねど高楊枝、でよいのではないか。

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 【東京】トヨタ自動車は25日、中国での販売鈍化に合わせて中国の各工場と日本にある「レクサス」工場の生産を調整する方針を明らかにした。日中両国の経済関係冷却化が長引き可能性があることを示唆する動きだ。

 日本政府による沖縄県尖閣諸島の国有化に対する中国の反発は、中国国内の日系企業の店舗や工場を標的とした暴動や日本製品に対する不買運動といった形で、経済面にも波及し始めた。

エコノミストの間では、両国の通商関係の悪化が、成長を減速させ世界のサプライチェーン(供給網)を脅かすとの懸念の声が広がっている。RBS証券(東京)のエコノミストである王漢華氏は「日中の経済は相互依存関係にある」と指摘し、「日中間の紛争は輸出を減退させ、両国の経済見通しを現実に悪化させる危機が出てきている」と警告する。

 日中両国政府は、経済制裁を発動しないよう慎重な姿勢をとっているが、日系企業は中国の税関検査が異例の厳しさとなっており、中国の一部港湾では通関に遅れが生じていると報告している。日本貿易振興機構JETRO)のウェブサイトによると、24日現在上海と深センの2港湾で日本製品の通関に問題が出ているとの報告が続いているという。ただ、藤村修官房長官は25日、中国の通関業務の遅れについて、「全体でそういう動きがあるのではなく、一部にみられるという認識だ」と述べ、散発的なものであり、中国当局が行っているものではないとの見方を示した。

 日系自動車メーカー各社はすでに8月には、日中間の緊張激化を受けて販売の鈍化に見舞われていたが、青島など一部都市での最近のデモでトヨタ、日産、ホンダの販売店が被害を受けて受注が減少。一方で、3社とも先週、中国各地の工場で操業を一時停止した。現在は操業を再開している。

 しかしトヨタは、中国の3工場の操業を再開した翌日の25日に、これら工場とスポーツ用多目的車(SUV)「レクサスRX」を生産している九州工場について、中国の需要の変化に合わせて生産を調整すると表明した。一部報道では、同社は九州工場の生産を25%削減すると伝えられているが、トヨタの広報担当者は「具体的な数字は明らかにしない」と述べた。

 中国の消費者は日本製品の購入を控えるようになっており、両国の貿易低迷が長引き両国の経済成長にダメージを与えるのではないかとの懸念が強まっている。エコノミストらは、ダメージがどの程度広がりどのくらいの期間続くのか予測するのは時期尚早としているが、ゴールドマン・サックスは今週、「中国を中心とする海外需要が予想を下回っている」ことを理由に、今年度(2012年4月〜13年3月)の日本の国内総生産GDP)伸び率見通しを、これまでの2.3%から1.9%に引き下げた。

 日中貿易は過去10年に爆発的に拡大し、日本にとって中国は最大の貿易相手国となっている。日中貿易が日本の貿易全体に占める比率は約20%で、米国のほぼ倍に達している。一方中国にとって日本は米国に次ぐ貿易相手国で、中国の貿易全体の9%を占めている。また、日本は最大の対中投資国の1つで、日系企業が中国での重要な雇用源となっている。

 シティバンク・グローバル・マーケッツは、中国の日本からの輸入品の60%は、完成品して再輸出されており、そのサプライチェーンが混乱すれば世界的に影響を及ぼす恐れがあるとみている。しかしエコノミストの中には、日中の経済には両国間の貿易以外のさまざまな要因が影響を及ぼしており、両国間の政治的な摩擦が経済に与える影響は限られたものになろうと見る向きもある。

 大和証券は最近のリポートで、「日本は地理的に中国に最も近い先進国であるが、日本経済は思われているほど中国に大きく依存してはいない。日本の景気サイクルは中国経済だけで決定されるわけでなない」と論じている。

 また、自動車メーカーなど中国に進出している日系企業が直面している問題は長期的には不買運動よりも、中国での拙劣なマーケティングや生産戦略であるとみる専門家もいる。

 コンサルタント会社HIS(上海)で中国自動車販売予測を担当しているリン・フアイビン氏は、「今後数年間に日本のブランドの市場シェアは低下していくと予想する。それは、政治的な出来事よりも、市場競争のダイナミックスやOEM(相手先ブランドによる生産)製品、販売戦略に大きく関係している」と語る。

 日本の経済界は早期に日中関係を正常化させたい意向だ。トヨタ張富士夫会長や日本経団連米倉弘昌会長らは27日、日中経済協会の日本代表として北京で中国政府要人と会談する予定になっている。

記者: Chester Dawson
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