トルコ・シリア間の緊張高まる 戦闘機撃墜問題(WSJ日本版から引用)

シリアは熱い燃える夏となるのだろうか。

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イスタンブール】トルコ政府は24日、シリアが22日にトルコ軍ジェット戦闘機を撃墜した事件について、シリアの主張とは逆に、機は公海上空にあったとして反発を強めた。トルコはまた、この問題について北大西洋条約機構NATO)の他の加盟国と正式に協議することになった。

かつては同盟国同士だった両国は地域内での武力紛争に発展する恐れがあるこの事件を鎮静化させたいようで、双方の当局者は事件後に慎重な反応を示していた。しかし、戦闘機はシリアの領海上空ではなく公海上空で撃墜されたとトルコが主張したことで、自体は悪い方に向かい始めた。

 トルコのダウトオール外相は国営テレビで、シリアは意図的に偽情報を流していると非難。シリア当局者は同国沖合21キロの上空で戦闘機を撃墜した時に、これがトルコ軍所属であることを承知していたのは間違いないということをトルコが得た情報は示している、と指摘した。

 同外相によると、戦闘機の飛行目的はシリアが主張するような偵察ではなく、地中海沿岸のトルコのレーダーをテストすることにあったという。同外相は「戦闘機はシリアに関する情報収集などしておらず、シリアとは関係ない」と述べた。また、「こうした飛行に脅威を感じるのは悪い意図があるからだ」とし、断固対応すると付け加えた。

 クリントン国務長官は24日の声明で、米国は「このような恥知らずで受け入れることのできない行為を最大限に糾弾する」とし、「米国はトルコとそのパートナーとともにアサド政権に責任を取らせる」と強調した。

 NATO加盟国であるトルコは、NATO設立条約4条に基づいて、事件への対応について加盟28カ国の協議を開くよう提起した。この協議は、加盟国が「領土保全、政治的独立あるいは安全保障が脅かされている」と判断した時に招集できる。協議は26日にブリュッセルで行われる。

 外交筋は、トルコがこの協議でどのような行動を要請するのかは不明だとしている。同筋は、同盟国はトルコへの連帯のサインを送ると見ているが、一部ではNATOの軍事的対応の公算は小さいと予想されている。

 1年4カ月にわたるシリア紛争にいら立ちを覚えているトルコがNATOに顔を向けたのはこれが初めてだ。NATOの有力加盟国は個別にはシリアの反政府勢力を支持しているが、NATOとしては紛争に軍事介入する意図はないと繰り返し表明している。

 NATOが4条に基づいて協議をしたのは最近では2003年にあった。これもトルコの要請に応じたもので、予想されるイラクの侵攻で緊張が高まっている時だった。NATOはこの協議を経て、トルコの領空に3カ月にわたって偵察機を展開させた。

 一部のNATO加盟国は24日、シリアの動きを非難した。ヘイグ英国防相はシリアの行為は「非道」だとし、この問題を国連で取り上げると語った。欧州連合EU)当局者も、これを25日にルクセンブルクで開かれるEU外相理事会のシリアに関する討議の時間に話し合うと述べた。

記者: Joe Parkinson、Nour Malas
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