三井住友TH:海外融資を強化、3割増の3兆7000億円に (Bloomberg.co.jpから引用)

リスクを取らなきゃ利益は出ないだろうけど、トップダウンで素早く動く企業ではなく、合議制で物事を決めて進める企業は、出遅れることが多くババを掴まされることも出てくる。

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6月20日ブルームバーグ):三井住友トラスト・ホールディングスは、海外向け融資業務を強化する方針だ。債務危機の長期化を背景に貸出資産圧縮に動いている欧州銀行からの資産買収などを通じて、特に外国企業向け融資を積み増し、今期中に残高を前期末比で3割に当たる9000億円増やして3兆7000億円程度まで拡大する計画だ。

三井住友信託銀行の田中茂樹ホールセール企画部長はブルームバーグ・ニュースのインタビューでこうした考えを示し、積み増し計画額は外国企業向けが5割増の6000億円、日系企業向けが2割増の3000億円と明らかにした。実現すれば、それぞれ残高は1兆8000億円、1兆9000億円と外国企業向けが全体の半分近くに達することになる。

大手邦銀の間では、欧州危機で体力の低下した銀行から良質な債権を買収して海外融資を増やそうとする動きが広がっている。海外展開で先行するメガバンクと一線を画してきた三井住友信託の3月末残高は2兆8000億円と三菱UFJの16兆6000億円に比べ大幅に少なく、海外収益比率は5%と15%以上の3メガに比べ出遅れている。

三井住友トラストでは4月に傘下信託銀行が合併し、連結業務純益ベースでみずほなど3メガに次ぐ4番目の規模となった。田中氏は、今後の海外業務について、「メガと真っ向勝負をしても仕方がない。信託銀行ならではの道を模索し、信託と商業銀行2つの業務を合わせ持つユニークな銀行として世界に認知されたい」と述べた。

日系企業M&A支援も

田中氏は欧州銀などからの資産買収について、アジア、欧米企業向け融資やプロジェクトファイナンスなど「知見のある分野、資本力に応じた案件」に絞って検討し、合計額で3000億円超に上る可能性も示した。資産運用業務も合わせ、15年3月末までに海外収益比率を10%まで引き上げたい考えという。

三井住友THの海外融資拡大計画について、ドイツ証券の山田能伸シニアアナリストは、「欧州銀行の積極姿勢が鈍っていることもあり、目標を達成できる可能性はある」と指摘。その一方で、「貸し出しの急増は与信費用の増加につながる恐れがあり、投資家は四半期ごとの開示できちんと監視しいく必要がある」と述べた。

田中氏は4月の傘下3行統合により、「上場企業の7割が当行の顧客になった」と取引基盤の拡大を強調した。その上で「例えば、国内基準行だった旧中央三井系の顧客企業の海外業務への取り組み強化や、円高で需要が増すM&A(合併・買収)や海外進出支援などで、まだまだ海外融資を伸ばす余地がある」と意欲を見せた。

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Chitra Somayaji csomayaji@bloomberg.net
更新日時: 2012/06/20 15:57 JST
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