中国が過去2番目の対日短期債投資、2月は6510億円買い越し (Bloomberg.co.jpから引用)

日本と中国の金融が近づくのだろうか。中国はやはり英国の金融機関と仲が良いようだ。

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4月9日(ブルームバーグ):財務省が9日発表した2月の国際収支状況(速報)の対内証券投資によると、中国は日本国債などの証券を3815億円買い越した。買い越し額は2010年7月以来の大きさ。米景気回復期待や欧州債務危機の鎮静化、日本銀行の追加金融緩和を受け、金利は一段と低下(価格は上昇)したが、中国は円安が進んだ局面で円資産の保有を増やした。

買い越しは3カ月ぶり。短期債は10年5月に記録した過去最大に次ぐ6510億円の純増。中長期債は2688億円の売り越し。中国を含むさまざまな国・地域からの投資資金が経由するとされる英国の短期債買い越し額は、前年同月比57%増の6兆1048億円だった。中国人民銀行中央銀行)の易綱副総裁は先月12日、中国は日本国債に投資するが、円相場を考慮して進めるとの考えを示した。

バンク・オブ・アメリカメリルリンチの藤井知子シニアFXストラテジストは、中国が外貨準備の分散を図る基本姿勢は変わらないが、「自国が話題になるのを避ける傾向がある」と指摘。2月は日本の経常赤字もあって外国人投資家が円売りに走る中で、静かに投資を進めていたと語った。

中国の外貨準備高は昨年末、3兆1812億ドルで世界最大。人民元相場の上昇を抑える為替介入などで1年間に11.7%増えた。人民銀の周小川総裁は1年前、外貨準備は適正水準を超えており、運用・投資の分散を改善すべきだと提言。共産党の機関紙、人民日報の日本語ウェブサイトは11月、外貨準備の3分の2がドル建て資産なので、持続的なドル安は「一定のリスク」だと指摘した。

米国債保有、日中協調

中国は米国債保有額も1兆1595億ドルと世界最大。しかし、米国が初めて格下げされた昨年8月以降は5カ月連続で残高を合計12.4%削減。1月も0.7%増にとどめた。人民銀の李稲葵貨幣政策委員は先月6日、残高削減は長期的な外貨準備分散策の一環だと語った。

日銀の統計によると、中国の対日証券投資残高は2010年に前年比4倍の13兆8360億円。うち債券が10兆4852億円で、短期債6兆3983億円、中長期債4兆869億円だった。一方、財務省の国別売買データでは、中国の投資急増が警戒され、野田財務相(当時)が国会で説明に追われた同年夏から失速。市場では、中国が国際的な金融取引の中心地である英国経由で対日投資を進めているとの見方が根強い。英国の対日証券投資は昨年、過去最高の68兆3828億円となった。

IMFによると、世界の外貨準備は昨年9月末に前年比13.2%増の10兆1767億ドル。円は15.4%増の2060億ドルで、特に中国を含む新興国保有が35.8%も増えた。通貨が判明している額に占める円の比率は3.8%で、05年3月末以来の高さとなった3カ月前とほぼ横ばい。6月末に60.3%と過去最低を記録したドルは61.7%に上昇。ユーロは25.7%と3年ぶりの低さとなった。

中国は貿易面に続き、金融の分野でも日本との結び付きを強めている。野田佳彦首相は昨年12月、北京で温家宝首相と会談。外貨準備を活用した中国国債への投資や、ドルを介しての取引が一般的な日中通貨の直接交換拡大などで一致した。2月には安住淳財務相が訪中し、王岐山副首相と会談。IMFからの資金拠出要請など欧州債務危機の解決に向けた対応で共同歩調を取ることで合意した。

安住財務相は先月13日、外貨準備を活用した中国国債の購入について、中国政府から650億人民元の許可が下りたと明らかにした。購入枠は「適切な規模」で「少額の運用から開始する」と述べた。日中は7日、第4回財務対話を開き、日中韓東南アジア諸国連合ASEAN)の金融協力推進で一致。欧州支援の一環となる国際通貨基金IMF)への資金拠出についても、20カ国・地域(G20)財務相中央銀行総裁会議までに両国で対応を協議する方針だ。

記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Rocky Swift rswift5@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/09 10:30 JST
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