円が上昇、輸出企業などの買いで−対ドル一時81円後半と3週ぶり高値(Bloomberg.co.jpから引用)

上がったり下がったり、世の中は動いている。

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3月30日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では円が上昇。米金利の低下などを背景に円高に圧力がかかりやすい中、国内輸出企業の円買いも指摘され、円は対ドルで3週間ぶり高値を更新した。

ドル・円相場は1ドル=82円半ば付近で東京市場を迎えた後、一時81円83銭までドル売り・円買いが進行。その後82円前半まで値を戻したが、正午に向けては再び円がじり高となり、午後には再び82円ちょうどを割り込む場面が見られた。

三菱東京UFJ銀行金融市場部カスタマーグループの佐原満次長は、「期末の仲値は例年割と大口の取引が飛び交うが、きょうは朝にかなりドル売りが出た後、仲値にかけてドル買いも出た」と説明。「期末日はいつもそうだが、マーケットのニュースなどに反応して動くということはあまりなく、フローで動く」と話した。

ユーロ・円相場も1ユーロ=109円後半から一時109円04銭まで円買いが進行。その後、109円90銭付近まで値を戻したが、午後にかけては109円半ばを中心にもみ合う展開となった。

景気動向を意識

先進10カ国の通貨で構成するブルームバーグ相関加重通貨指数によると、円は年初来約9.7%下落。日本の貿易赤字化による経常収支の早期悪化懸念や日銀の金融緩和強化を背景に今月15日には対ドルで約11カ月ぶり安値となる84円18銭を付けた。ドルは年初来2.8%安、ユーロは0.5%高。

一方、この日の東京市場日中の取引では円が主要通貨に対して前日終値比で総じて強含みとなり、対ドルでは一時0.7%高となる場面も見られた。あおぞら銀行市場商品部の諸我晃次長は、ドル・円相場について「基本的にはまだ82円から84円のレンジでの動き」としながらも、米金利もやや下げ基調になっており、「今は圧力的に円高方向に行きやすい局面」との見方を示した。

この日発表された日本の経済指標は強弱まちまち。2月の全国消費物価指数(CPI)では生鮮食品を除いたコア指数が前年同月比0.1%上昇と予想外のプラスとなった。また、2月の完全失業率は4.5%と前月から予想外に改善したが、2月の鉱工業生産指数は予想に反して前月比1.2%低下した。

諸我氏は、4月以降の相場展開について、「来週の雇用統計を中心に米国の景気動向というのをかなり意識していくことになる」と予想。一方、日本勢による年度末のレパトリエーション(自国への資金回帰)が一巡してくるため、需給面については「円高圧力は少し薄れてくる」と指摘した。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、30日発表される2月の個人消費支出(PCE)は前月比0.6%増が見込まれている。3月のトムソン・ロイターミシガン大学消費者マインド指数(確定値)は、ガソリン価格の上昇によって伸びが抑えられ、1年ぶり高水準近辺にとどまると予想されている。

EU財務相会合

ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.32ドル後半から一時1.3377ドルまでユーロが反発。週末開かれる欧州連合(EU)財務相会合を前に、週前半に付けた2月29日以来のユーロ高値(1.3386ドル)手前まで値を戻した。

三菱東京UFJ銀の佐原氏は、救済基金の上限引き上げに焦点が集まる中、とりあえず「欧州の頓死のようなシナリオ」の可能性は低下しており、「みんな売りから入るので、成り行き次第でショートカバー(買い戻し)的にユーロが買われる局面はある」と予想。もっとも、欧州債務問題をめぐっては「最後に誰かがツケを追わなければならないという部分は解決していない」とし、「中長期的にはユーロは売りやすい通貨」だとしている。

ドイツのショイブレ財務相は29日、ユーロ圏の救済基金拡充に向けた取り組みが債務危機後退につながるとの見解を示した。また、スペインに対して、労働市場改革を推進するよう求めた。スペインのモントロ国庫相は30日に2012年予算案を提示する。

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更新日時: 2012/03/30 16:11 JST
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