宮尾日銀委員:満期到来前に売却の可能性も−買い入れた長期国債(2) (Bloomberg.co.jpから引用)

なんだかんだ言っても、日銀も円安にしたいのだろうか。

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3月28日(ブルームバーグ):日本銀行の宮尾龍蔵審議委員は28日午後、千葉市内で会見し、日銀が資産買い入れ等基金の枠組みで買い入れた長期国債について「最後まで持たない可能性も当然ある」と述べ、満期が到来する前に売却する可能性に言及した。

日銀は先月14日の金融政策決定会合で、消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率1%が見通せるまで強力に金融緩和を推進していくと表明。10兆円の長期国債買い入れ増額を全員一致で決めた。今月13日の会合は現状維持だったが、宮尾委員は5兆円の資産買い入れ等基金の増額を主張。1対8の反対多数で否決された。

基金による長期国債買い入れに歯止めは必要ないのか、との質問に対し、宮尾委員は「基金による国債の買い入れは金融政策だ。金融政策ということは、最後まで持たないという可能性も当然あるので、状況に応じてフレキシブル(柔軟)に対応し得る」と述べた。日銀が「成長通貨」の増加に合わせて行っている長期国債の買い入れは年21.6兆円あり、こちらは満期まで保有することが前提となっている。

長期国債を購入する一方で短期国債を売却するツイストオペについては「長期金利の低下を促す効果がある一方で、中短金利の上昇を招く可能性がある」として、「現時点であえてそういったリスクを冒す必要はないのではないか」と述べた。

3月のタイミングが適切と判断

宮尾委員は3月の金融政策決定会合で追加緩和を提案したことについては「私自身はそのタイミングで資産買い入れ等基金の増額を実施するのが適切と判断した」と述べた。

景気認識については「基本的にこれまで想定していたメインシナリオにおおむね沿った動きである」と述べる一方で、「いくつかの変化点もある」と指摘。具体的には①欧州債務問題の深刻な金融システム不安が後退している②米国経済の改善に底堅さがうかがわれる③わが国の金融環境の改善がみられる−ことを指摘した。

一方で懸念材料としては、欧州経済の停滞が長期化するリスクや原油価格の動向、中国経済の減速の動きが今後どうなるかを挙げた。

日銀が2月会合で強力な金融緩和を打ち出したにもかかわらず、同月の日銀券と日銀当座預金などからなるマネタリーベースは前年同月比11.3%増と、前月の15.0%増から大きく減速した。

宮尾委員はこれについて「この2、3月で1つ考えられる要因としては、財政資金の変動によって、当座預金が比較的大きく変動したので、その結果がマネタリーベースの短期的な動きに表れた可能性があるのではないか」と指摘。「いずれにしても、そういった要因の動きも含めて、マネタリーベースの動き、マネー指標の動きについて注意深く点検していきたい」と述べた。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net

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更新日時: 2012/03/28 15:35 JST
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