ドル82円後半でこう着、ユーロ/円は底堅い動き(REUTERSから引用)

消費税増税法案が通らなくても、直接円安になる理由とはならないのではないか。それを材料に売られることはあるかもしれないが、規制緩和をしないから既得権分の内需は残る。ほかの先進諸国よりはましではないだろうか。

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[東京 27日 ロイター] 午後3時のドル/円は、ニューヨーク午後5時時点とほぼ同水準の82円後半。一時83円台に乗せたが実需勢などの売りに押し戻された。前日海外市場で大幅高となったユーロ/円は調整売りで下げたものの、引き続き地合いは堅調で110円台後半では本邦勢の買いが出ていたという。

ドル/円をめぐっては、米国で早期の緩和解除観測が後退したことから、調整が入りやすいとの指摘も出ていた。

<海外投機筋はドル売りモード>

ドルは仲値公示にかけて83.04円まで上値を伸ばした。「転換線(83.07円付近)の上にストップを置いてショートに振っている投資家が結構いて、きょうはこの水準をめぐって仲値あたりまでずっと攻防していたが、ひとまず下向きの投資家が勝った格好になっている」(大手邦銀)という。実需勢の売りも上値を抑えた。

その後、ドルは82.80円まで値を下げたものの、市場では「海外投機筋は円売りモードになっており、何かあると円を売ってくる。ドル/円は上値が重いというより、底堅いと言える」(外資系運用会社)といった見方が出ていた。

北朝鮮による長距離ミサイル発射実験とみられる「衛星」打ち上げ計画も、やや円売りに作用している可能性がある。「国内勢はあまり気にしていないが、海外勢が意識している。海外勢は地政学的リスクには敏感で、円売りの中にはこれを意識した動きもある」(国内銀行)という。

<ドルの調整地合い指摘する声も>

ドル/円をめぐっては、金融緩和を強化する日銀に対して、追加緩和観測が後退する米連邦準備理事会(FRB)という構図の中で、ドル買い/円売りが進んできたが、前日のバーナンキFRB議長の発言で早期の緩和解除観測が後退。「これまでの逆の動きとなり調整が入りやすくなっている」(大手邦銀)との指摘も出ていた。
バーナンキ議長は全米企業エコノミスト協会(NABE)での講演で、このところの失業率の低下は、企業の間で景気後退期に大幅に削減した従業員を再び雇い入れる動きが出ていることを反映している可能性があるとし、これが事実とすると、改善のペースが滞る恐れがあるとの見方を示した。

同議長は「こうした動きが収まった場合、失業率が一段と大幅に低下するには、生産、および消費者と企業からの需要が一段と速いペースで拡大する必要がある」と指摘。「こうしたプロセスは、緩和策を継続することで支援することができる」と語った。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部長、佐々木融氏は「バーナンキ議長の発言は、米雇用市場関連で強い数字が出ているにもかかわらず、かなり慎重なもので、米国の金利が上昇しないという印象を強めた。これはドル安につながりやすい」との見方を示した。「堅調な株価を背景にリスクオン地合いが続くとすれば、ドルと円が両方弱くなり、ドル/円相場はレンジ内での推移となるだろう。一方、クロス円は上昇しやすい」という。

<ユーロは底堅い動き>

ユーロ/円は一見、株高にも関わらず伸び悩んでいるように見えるが、市場からは「110円台にしっかりと乗せ、110.40円はサポートになっている。新たな不安材料が出ない限りは、一段の上昇の余地があるとみている」(FX会社マネージャー)との声が複数聞かれた。

日米欧の金融緩和で「株価はトレンド的に崩れにくい。ドル売り、円売り、クロス円の買いが続きそうだ」(同)という。

(ロイターニュース 志田義寧)
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