北朝鮮:発射予告 金正日総書記の死去以前に米に伝達(毎日jpから引用)

色々とうごめく朝鮮半島

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【ソウル西脇真一】北朝鮮による「衛星」打ち上げ予告について、金正日キム・ジョンイル)総書記の死去が発表される以前に、北朝鮮当局者が米国側に4月打ち上げの意向を伝達していたことが24日、分かった。韓国の情報関係者が明らかにした。今回の「衛星」打ち上げは新指導者の金正恩キム・ジョンウン)氏の判断ではなく、金総書記の指示だった可能性が高まった。金正恩体制では金総書記の遺訓を「一寸の譲歩も一寸の抜かりもなく徹底的に貫徹する」と宣言しており、今回の「衛星」打ち上げも周辺国の懸念を振り切って実行に移すとみられる。

 関係者によると、複数の北朝鮮当局者が昨年12月15日、ニューヨークで米国の民間団体関係者と会談した。この際、北朝鮮側は「4月15日の太陽節(故金日成(キム・イルソン)国家主席生誕100周年)に合わせて、人工衛星を打ち上げる」と明らかにしたという。

 これに対し、米民間団体関係者は「衛星打ち上げは国連安全保障理事会での決議違反とみなされ、米朝の関係改善が遅れることになる」などと警告する一方、国務省に対して「直ちに対策を講じる必要がある」と通報していた。その直後の12月19日、北朝鮮は金総書記死去を発表したため、米朝双方とも一時、衛星打ち上げ問題の取り扱いを中断していた。

 その後、北京で2月に開かれた米朝協議で北朝鮮寧辺(ニョンビョン)核施設でのウラン濃縮活動や核実験、長距離弾道ミサイル発射実験を一時停止する見返りに、米国が24万トンの栄養補助食品を提供することなどで合意。この際、米国のデービース北朝鮮担当特別代表らが、金桂冠(キム・ゲグァン)第1外務次官に対し、改めて「衛星打ち上げ名目であれ、ミサイル発射技術を使うのは安保理決議違反にあたる」などと念押ししていたという。

 一方、別の情報当局者によると、北朝鮮では昨年11月下旬、平壌の建設工事現場に、動員されていた大学生が数百人負傷する事故が発生。学生らが労働環境の改善を訴えて争議を起こし、北朝鮮当局が朝鮮人民軍を派遣して鎮圧させたという出来事があった。こうした背景から金総書記を含む指導部は、太陽節に向けて体制の引き締めと求心力を高める必要があると判断し、弾道ミサイル発射とほぼ同じ技術を使う「衛星」打ち上げを計画した可能性があるという。

毎日新聞 2012年3月24日 15時00分(最終更新 3月24日 15時24分)
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