【コラム】災厄の年を耐え忍んだ日本―今後の景気・株価動向を占う(WSJ日本版から引用)

2012年は、日本好景気に沸いた一年だった、来年もさらに続くと、年末に言われるだろうか。しかし、雇用情勢は選ばなければある、という状態で今と大きくは変わらないのではないか。

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 【シドニー】2011年は日本にとって歴史的であると同時に、忘れたい年になった。自然災害、原発事故、欧州債務危機などに次々と襲われた日本の株式市場はこの2年半の安値レベルで低迷している。
にもかかわらず、明るい見通しも出始めている。

クレディ・アグリコル・ジャパンのチーフエコノミスト、関戸孝洋氏によると、日本経済は比較的好調だという。あれほど多くの災厄に見舞われながら、日本の経済が先進諸国のなかで最も好調だとは意外である。成長モメンタムにはかなりの回復力があり、他の先進国よりもずっと期待できると同氏は言う。

 景気刺激策として今後投入されていく巨額の公的資金は、勢いを取り戻そうとする日本を後押しすることだろう。日本政府は今年これまでに景気支援のための3つの補正予算をまとめてきた。第4次補正予算案の大枠も固まっている。

 キャピタル・エコノミクス・ジャパンのエコノミスト、デビッド・レア氏によると、当初の見積もりでは、4つの補正予算の総額は19兆円で、国内総生産GDP)の約4%に相当する。この他にも日本銀行による数兆円規模の資産買い入れ、円高阻止のための大規模な為替介入などがあった。

 クレディ・アグリコルの関戸氏は、景気刺激策のほとんどはまだ実施されておらず、すでに承認されている18兆円の予算のほとんどは来年の上半期に投入されることを指摘、これが日本経済に乗数効果をもたらすはずだと述べた。

 国際通貨基金IMF)が9月に発表した予測では、2012年の日本の経済成長率は復興への取り組みや歳出拡大の効果もあって2.3%のプラスになるという。11年は0.5%のマイナスが見込まれている。
関戸氏は円について、来年の1月と2月には通常の水準まで下がり、その後も徐々に円安に推移していくだろうと述べた。

株式市場の値動き

 11年を通して日本の株式市場が低迷した要因の1つに異常なほどの円高があった。11月には日経平均がこの2年半の最安値をつけた。

 RBCグローバル・アセット・マネジメントでアジア株の運用に携わる武田洋二氏は、現在の日本株のバリュエーションについて過去最低レベルにあるが、ポートフォリオからリスク資産を減らさなければならない人たちにとっては関係ないようだと述べた。武田氏は、市場の明暗を分けるのは欧州の状況だとしながらも、日本国内の問題もあると言う。国内金融機関が流動性確保のために株式へのエクスポージャーを削減し続けていることだ。

 武田氏によると、日本の銀行や保険会社は株式へのエクスポージャーをまだ減らす必要があるという。こうした金融機関には株式へのエクスポージャーの削減目標があり、市場が反発すれば今年であれ来年であれ、さらに売却する構えだそうだ。

 株式市場は先月打った底から少し上げており、12年には金融、自動車、ハイテク関連などが通常の水準まで戻すだろうというのが武田氏の見解である。

 同氏は、いくつかのアーリーサイクル(景気回復の初期段階で相場になるセクター)のハイテク株が実際に買われ始めていたり、在庫調整が順調に進んでいたりすることから、日本の景気はおそらく今後数カ月で底入れするとみている。

記者: Virginia Harrison
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