為替介入額は過去最大の9兆916億円、10月末以降も「覆面」実施か(Bloomberg.co.jpから引用)

アメリカのQE3ではなく、日銀がその代わりに資金を供給しだしている。アメリカに行ったお金は帰ってこなくなるのか。

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11月30日(ブルームバーグ):政府・日本銀行による10月末以降の為替市場介入額は、単月で過去最大となる9兆916億円だった。安住淳財務相が発表した大規模介入だけでなく、実施の事実を明らかにしない「覆面介入」もあったとの観測を強める結果となった。

  財務省が30日夜に発表した11月(10月28日から11月28日まで)の「外国為替平衡操作の実施状況」で分かった。これまでの最大は2004年1月の6兆8215億円。一部の市場関係者は日銀当座預金残高の分析などから、安住財務相が介入を発表した10月31日の実施額は8兆円規模と推計していた。10−12月分の日別・通貨別の介入実績は来年2月ごろに公表される見通し。現時点では、単日での過去最大は8月4日の4兆5129億円だ。

  円・ドル相場は10月31日に一時1ドル=75円35銭に上昇。同月5回目の戦後最高値を記録した。政府・日銀は同日、8月4日以来となる円売り・ドル買い介入を日本単独で実施。安住財務相は記者会見で、国内経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を反映しない過度な円高に対し「納得のいくまで介入する」などと語った。

  市場では政府・日銀がその後も数営業日にわたり、1日に数千億円程度の覆面介入を続けたとの観測が浮上。実際、今回発表された介入額は10月31日分の推計値を約1兆円も上回る。東短リサーチの高橋雄一上席研究員は、覆面介入を含めた同週の総額で「8.7兆−9.1兆円程度」と分析していた。

  ステート・ストリート銀行の富田公彦金融市場部長は、円・ドル相場は歴史的な高値圏にはあるものの、収益の源泉となる変動率が他通貨に比べて低いため、投機的な売買は少ないと指摘。円高に歯止めがかかったのは、当面の円買い需要を吸収したという「量の問題に過ぎない」と述べ、本質的な円高対策としてはデフレ脱却などが必要だと強調した。

           為替介入への反応

  歴史的な円高・ドル安水準にあっても、米欧が日本の為替介入に対し、積極的な支持に転じたわけではない。米財務省のコリンズ次官補(国際金融担当)は7日の記者会見で、日本の為替介入について「市場が大きく荒れていることがない場合には市場の力に応じ、為替レートが柔軟に動くことを容認するのがG7(先進7カ国)の約束だ」と述べた。

  安住財務相は22日、外貨建て資産購入のための基金50兆円を設ける構想について、円売りの「為替介入になる可能性が高い」と述べ、慎重な姿勢を示した。

  円・ドル相場は29日に一時78円29銭と約4週間ぶりの安値を記録。欧州債務危機が続く中でユーロ相場は軟調だが、円高・ドル安の再燃は見られていない。

  ただ、ブルームバーグ・ニュースの調査によると、米プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)の大半は、連邦準備制度理事会FRB)が来年1−3月に追加金融緩和に踏み切ると予測。住宅ローン関連証券の購入額の予想(中央値)は約5450億ドルに及ぶ。FRBのイエレン副議長は29日の講演で「長期金融資産購入の拡大により、米景気回復を加速し、失業率を引き下げる余地がある」と述べた。

  日本銀行西村清彦副総裁は30日午後に京都市内で会見し、追加的な金融緩和の必要性について「必要なら適切に遂行することが一番重要だ」との見方を示した。

  バークレイズ銀行の山本雅文チーフFXストラテジストは「FRB量的緩和策第3弾(QE3)が円高・ドル安と国内株安につながる場合には、円高を抑える目的での大規模介入もあり得る」と指摘。「日銀が大規模で市場の機先を制するほどの金融緩和に踏み切るとは期待できないため、円高に歯止めをかけるのは介入しかない」とも語った。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 Shigeki Nozawa snozawa1@bloomberg.net

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Rocky Swift rswift5@bloomberg.net
更新日時: 2011/11/30 19:04 JST
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