米FRB、政策転換条件となる数値の設定を検討(WSJ日本版から引用)

どのように景気刺激のためにお金をばらまくというのか、とうざ期待を持たせるうまい言い方とはどんな内容になるのだろうか。

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米連邦準備理事会(FRB)当局者は、おぼつかない景気と自らのまとまらない議論が国民を混乱させていると懸念しており、インフレを招くことなく失業率を押し下げる戦略を明確にするためにより具体的な経済目標を導入するかどうか検討している。

 バーナンキFRB議長は、政策的に対極に位置するフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁とシカゴ連銀のエバンズ総裁に対し、イエレン副議長と協力し、FRBがどうすれば経済目標を国民によりうまく説明できるか研究するよう要請した。関係筋によると、その中でも優先度が高いのは、失業率やインフレ率がどう変わればFRBが現在の低金利政策からかじを切るのかを詳しく定めることだ。
FRB当局者は、20、21日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、追加的な短期景気対策を検討する公算が大きい。証券ポートフォリオを再編して長期債の割合を増やす手段もその1つだ。狙いは長期金利を押し下げて投資や支出を促すこと。このほか、市中銀行FRBに置いている資金に対して現在支払われている金利0.25%の引き下げを試みる可能性もある。

 バーナンキ議長には、その気になればこうした措置に対する支持を勝ち取るだけの影響力がある。しかし、目標明確化という課題は、達成されるとしても今週のFOMCではないとみられる。その進め方について、FRB当局者の見解が分かれているためだ。

 12の地区連銀の総裁の何人かは現在、成長喚起に向けて新たな手段を試すことに反対だ。前回のFOMCでは、3人が反対票を投じた。残りも、より積極的な措置を即座に講じる必要があることに納得した程度だ。

 コロンビア大学マイケル・ウッドフォード教授は「意見が異なる人たちが同時に複数のメッセージを送っていることが心配だ」と述べた。異なるシグナルは、低金利を維持するというFRBの約束について国民を混乱させ、FRBの政策の効果を弱めているという。

 エバンズ氏とプロッサー氏は、バーナンキ議長を引き合う力の象徴だ。両者ともエコノミストで、ゴルフをともにすることもあるが、世界の見方は全く違う。エバンズ氏は現在9.1 %の失業率が高すぎるとみており、インフレ懸念はないと考えている。これに対しプロッサー氏は、FRBの措置が将来インフレを引き起こすと懸念している。

 エバンズ氏は最近のインタビューで、ウッドフォード教授の言葉を引用し、一部FRB当局者の強硬な言葉がFRBの景気てこ入れ策の効果を押し下げていると強調。「わたしが考えているFRBのスタンスよりも、FRBは利上げに近いと思っている人がいるかもしれない」と語った。

 エバンズ氏は、政策金利の引き上げは、インフレ率が3%を超えるか失業率が7.5%を下回ったら、という条件を設定するよう求めている。

 一方、8月のFOMCで反対票を投じたプロッサー氏は、FRBが正式な数字ベースのインフレ目標を導入するよう求めている。広範な条件というアイデアには潜在性があるが、利上げの条件になる失業率を、FRBが追加的な研究もせずただ取り入れるわけにはいかないと語っている。

 バーナンキ議長や当局者の多くは、議長がFRB内部で抵抗に遭っているとの考えを意に介していない。内部での意見の不一致は、当局者が難しい問題に真摯に向き合っていることを示し、むしろ強さの表れだとしている。

記者: Jon Hilsenrath
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