ドイツ、シュタルク氏の後任にアスムセン氏を指名―ECB専務理事(WSJ日本版から引用)

やはりドイツは、安いユーロとし輸出で利益を稼ぐ戦略を取るのだろう。

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マルセイユ(フランス)】ドイツ政府は10日、突然辞意を表明したシュタルク欧州中央銀行(ECB)専務理事の後任にアスムセン財務次官(44)を指名した。

 ショイブレ独財務相は同日、記者団に対して、アスムセン氏が今年末にかけてECBで仕事を開始できるだろうと語った。

アスムセン氏は2008年以来、ドイツの金融危機対応で主要な役割を果たした高官の一人で、ギリシャなどの高債務国の救済問題で独政府と他のユーロ圏諸国政府との多くの細かな交渉を担ってきた。

 同氏が、高債務国の国債購入など、ECBの政策をどのように見ているかは公になっていない。独政府当局者は、中央銀行の独立を尊重する独政府の立場を守って、ECBの諸決定には直接コメントしないようにしている。

 このためアスムセン氏が理事に就任したとして、問題国の国債購入などのECB政策に対するシュタルク氏の強硬姿勢が継続するのか、あるいはもっと柔軟な姿勢を取るのかははっきりしない。アスムセン氏らドイツ政府当局者は8月初め、金融市場がパニック状態にあるときにイタリアとスペインの国債を買い支えることをECBにひそかに働きかけた。同政府は、イタリア国債市場の崩壊を迅速に阻めたのは当時ECBしかなかったということを十分承知している。

 その一方で、最近フランクフルトに移ったもう1人の当局者―ワイトマン独連銀総裁―は、今年メルケル首相の経済顧問を退いて以降、国債買い支えに強く反対するようになった。

 アスムセン氏はウェーバー前連銀総裁の教え子だ。ウェーバー氏は今年2月に辞意を表明するまで次期ECB総裁の有力候補だった。

 ウェーバー、シュタルク、ワイトマンの3氏は、国債の購入は中央銀行と政府の予算管理の境界線をぼやかし、財政健全化という圧力から政府を解き放つものだと主張している。こうしたドイツ当局者のコーラスにくみするのかどうか、ラスムセン氏のコメントが極めて注目される。

 アスムセン氏がECBの主任エコノミスト兼理事に就任するにはまず、ユーロ圏の財務相と首脳の承認、次いで欧州議会の承認が必要で、もちろんECB自身の意見も聴取される。

 一国の政府当局者ではなく独立したエコノミストを理事に充てた方がいいとの批判が一部から出ているものの、ここ数年間のアスムセン氏の危機管理の直接的経験が及第点を取らないことはないだろう。

 中道右派メルケル政権において同氏は左派の社会民主党(SPD)のメンバーであり、この点同氏が財務次官のポストをこれまで維持してきたことは異質といえる。ショイブレ氏は2009年に財務相に就任したとき、その国際バンキングと債務危機での経験を買って、「ふさわしくない」党のメンバーであるにもかかわらず、アスムセン氏を同ポストにとどめたのだ。

記者: Geoffrey T. Smith
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