焦点:東日本大震災から3カ月、投資家は日本株回帰の時期模索(REUTERSから引用)

この夏、18〜20%日本株が上がる可能性がある。しかし、その後も順調に上げ続けるわけではなさそうだ。大きく調整し、その後また上昇を目指す可能性だ。
農耕型、配当金を複利で増やしていくことを主とし、売却差益を従とする考え方ではなく、狩猟型、獲物を狙って大きく獲る考え方では、上がると思っていると下げたりと、一旦逆に大きく振れることがある。

引用開始
[ロンドン 10日 ロイター] 地震津波原発事故という未曽有の三重災害が日本経済を揺るがした東日本大震災の発生から3カ月が経ち、一部の海外投資家やアナリストは、そろそろ日本株に戻る時期だと感じ始めているようだ。
 その背景には、株価の割安感や20兆円を超える復興予算、日銀当局者らからの前向きなコメント、被災企業の復旧の兆しなどがある。
 今週開催された「ロイター・インベストメント・アウトルック・サミット」に参加したソシエテ・ジェネラルアセットアロケーション責任者、アラン・ボコブザ氏は、日本株の相場回復への期待感を隠さない。「日本の株価水準は安い。私は日本株が大好きだ」と述べ、日経平均株価は向こう12カ月で18─20%上昇するとの見方を示した。
 また、三重災害の克服に資本が投入されるため、日本はV字回復が見込める数少ない国の1つだと指摘。日本株の株価純資産倍率(PBR)は1.1倍と低く、将来の利益や成長をまったく織り込んでいないとも指摘している。
 バイサイドでこうした見方をするのは、ボコブザ氏だけではない。インベスコ・パーペチュアルの株式チームは、世界の中で日本をオーバーウエートにしている。同社の日本担当者トニー・ロバーツ氏は最近のリポートで、日本株のPBRが1倍前後で推移しているのは「あまりにも評価が低過ぎる」とし、「日本からは十分な投資リターンを期待している」と述べた。

 <長い道のり>

 一方、ロイターが日本、英国、欧州大陸、米国の投資家58社を対象に行った5月の国際分散投資調査では、日本株へのアロケーションが昨年11月以来の最低水準となるなど、現時点で日本に強気になるのは未だコンセンサスとは言えないようだ。
 日経平均は年初来7.5%安近辺で推移しており、震災発生前に上期の日本株のパフォーマンスに強気な見通しを示していたゴールドマン・サックスなどの期待を打ち砕いている。震災発生直後の安値からは約15%戻しているが、それでも震災前水準からは9%超安いままだ。

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FRBによる米国債保有高が急増、保有額第2位に  これは、震災は株価に織り込まれたが、復興はまだ織り込まれていないことを意味しているかもしれない。
 投資家は、第1段階(震災)が終わって第2段階(復興)が始まる兆候を探しており、最近の金融当局者や大手企業経営者のコメントから、そうしたう動きを読み取ろうとしている。
 2日に奈良市で講演した中村清次日銀審議委員は、日本の消費に前向きな動きがみられるとの認識を示し、「本年度後半にかけては景気回復テンポが高まる可能性が高い」と語った。
 また生産についても、足元は大幅な減産が続いているものの、「以前の『まったく見通しが立たない状態』から『見え始めた』部分が次第に増えてきており、いくぶん前向きな動きとして評価できる」と述べた。
 トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)の豊田章男社長も4日、生産は速いペースで回復しているとし、「日本国内では今月に通常の90%の水準に回復すると見込んでいる」と語っている。

 <誘惑の言葉>

 もちろん、こうした見方にすべての人が同意しているわけではない。基本的に貿易立国である日本は世界経済との結びつきが深く、世界経済に逆風が吹けば、日本にも当然影響するという議論は多い。
 HSBCグローバル・アセット・マネジメントのチャーリー・モリス氏は「安いのは分かっている。ただ、変化を促す材料を見つけることができない」と語る。同氏が運用するファンドはベンチマークを追っておらず、日本株を組み入れていない。
しかし最大のハードルは、日本株の上昇が「間もなく訪れる」というストーリーをあまりに長く聞かされ続けてきたと感じる投資家の心情かもしれない。
 1989年12月に史上最高値を付けた日経平均は、日本経済が景気後退(リセッション)に入ったり出たりする間、下落傾向が続いている。現在の株価水準は最高値から依然として約75%安く、米国のS&P総合500種が同じ期間に約260%上昇したのとは非常に対照的だ。
 そうは言うものの、その期間の日経平均にも少なくとも10回程度の大幅な反発局面はあった。震災復興は、そうした反発局面を再び呼び起こすことができるだろうか。

 (Jeremy Gaunt 記者;翻訳 宮井伸明;編集 加藤京子) 

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