OECD:日本と米国の赤字について警告、世界の成長見通しは維持 (Bloomberg.co.jpから引用)

日本の財政が本当に危機的状況であれば、円高などにはならず円安になる。OECDも財務官僚がご注進している可能性が高い。地方分権が進み、中央政府が小さくなり、特殊法人特別会計等が清算されれば、問題は消えていく。

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5月25日(ブルームバーグ):経済協力開発機構OECD)は日本と米国に対し、財政赤字削減と債務拡大阻止の計画を策定するよう呼び掛けた。
  パドアン事務次長(チーフエコノミスト)は25日発表のOECD年次経済見通しで、「負債水準を安定させる」ためだけの財政調整措置でさえ、「多くの国で相当大きなものが必要だ」とした上で、「その必要性が最も高い米国と日本はまだ、信頼できる中期的計画を策定していない」と指摘。さらに、他の諸国は目標を達成するための具体的措置を示す必要があると論じた。
  OECDは今年と来年の世界経済成長率予想はそれぞれ4.2%と4.6%で据え置いた。今年の米成長率予想は2.6%と、昨年11月時点予想の2.2%から引き上げた。
  パドアン氏は「世界の景気回復は自律的なものとなり、広がりを増している」との認識を示した。一方、米国と日本のスパイラル的な赤字拡大とエネルギー価格上昇が景気回復を脅かす要素だと指摘した。
  米国については「財政健全化の取り組みについて合意がなく」、オバマ政権が提案している赤字削減策が「どの程度実践されるかに疑問符が付く」と分析。「2012年から先の財政不均衡是正のさらなる進展のためには、税制と給付の大胆な改革が必要だ」と続けた。
  米国の政府債務は11年に国内総生産(GDP)の101.1%に上り、12年は107%に達するとOECDは見積もっている。米国の12年の成長率見通しは3.1%に据え置いた。
  日本についても、中期的に財政赤字を削減する方法を特定する差し迫った必要性があると指摘した。日本の赤字はGDP比で11年が212.7%、12年が218.7%と予想されている。成長率は今年がマイナス0.9%、来年が2.2%の見込み。
  OECDは、東日本大震災からの「復興費用を、歳出の配分見直しと歳入増によって賄うことが重要だ」との見解を示した。「2020年までに公的債務の対GDP比率を安定させるという政府目標の達成に十分な増税と歳出削減を盛り込んだ詳細かつ信頼性のある財政健全化計画を策定することが最優先課題だ」と論じた。
  ユーロ圏については今年の対GDP負債比率95.6%、来年96.5%が見込まれている。ユーロ圏も赤字削減が必要であると同時に、成長加速を模索することも必要だとOECDは指摘した。ユーロ圏の今年の成長率予想は2.0%と従来の1.7%から引き上げ、来年の予想は2%で据え置いた。
  ユーロ圏の「ほとんどの国で、長期にわたる財政引き締めが必要だ」とし、「経済の均衡回復と長期的な成長加速を促すために、労働および生産市場の改革が必要だ」と続けた。
  ユーロ圏で救済を受けているギリシャアイルランドポルトガルの3カ国について、維持可能な負債水準への回帰とソブリン債危機脱却のために3つの選択肢があると分析。
  第1は他のユーロ圏諸国が金融支援を続けること、第2は既存債務の返済期限の繰り延べだと指摘。「財政の維持可能性を回復するためには極めて大幅な期間延長と低金利が必要だ」と論じた。
  「第3の選択肢は政務債務を現在市場が予想しているような形で減らすことだが、実践上はこの選択肢の採用は国内金融セクターの崩壊と他の国への感染を防ぐ必要性によって厳しく制限される」と分析した。
  英国については財政再建の取り組みを評価し、赤字は09年の対GDP比11%をピークとし16年には解消するとみている。英国の今年の成長見通しは1.4%と3月時点の1.5%から引き下げた。12年の予想は1.8%と従来の2%から下方修正した。
  OECDは、中国の11年成長率予想を9%と昨年11月時点の10%から引き下げた。インフレ率は現在約6.75%と見積もり、押し下げが必要と指摘した。

記事に関する記者への問い合わせ先:Mark Deen in Paris at markdeen@bloomberg.net

記事に関するエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling at cstirling1@bloomberg.

更新日時: 2011/05/25 18:07 JST
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