北朝鮮の攻撃が危機でない理由とは――米専門家(CNN.co.jpから引用)

いよいよ、アメリカも本腰を入れて北朝鮮の(鉱山)利権を取りに行くのか。

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(CNN) この記事は、核問題に取り組む米NGOプラウシェアズ基金のジョセフ・シリンシオーネ理事長と同基金プログラム・ディレクターのポール・キャロル氏による論考である。同基金は先週実施された科学者らの訪朝に資金を提供した。
北朝鮮が新たな原子炉とウラン濃縮施設を建設していることが判明し、ニュースの見出しも評論家も危機の到来を叫んでいる。
さらに悪い知らせとして、23日には北朝鮮、韓国間の砲撃戦が報じられた。緊張が高まり、死者も出ている。どちらも確かに挑発的で深刻な出来事ではあるが、危機的状況とはいえない。両方とも北朝鮮の明確な行動パターン、つまり最終的には前進への望みを差し出すというパターンに当てはまるからだ。
残念なことに、米国の反応も今のところ、口先で非難するというパターン通りにとどまり、事態の打開につながる効果的な関与という面はほとんどみられない。こうした事態の下、改めて学び直すべき重要な教訓がある。
まず第一に、北朝鮮をめぐる基本的な安全保障状況に変化はない。北朝鮮が核爆弾4〜8個分のプルトニウムを兵器化していると推定されるものの、これらを戦闘機やミサイルで運搬する能力はないこと、プルトニウム生産活動は凍結され続けさらに退化している可能性があることは、2週間前に訪朝したシグ・ヘッカー博士が報告した通りである。
ロスアラモス国立研究所の元所長であるヘッカー氏は23日、ワシントンでの会見で、自身の報告がメディアに「誇張されている」との見方を示した。同氏の説明によれば、新たに建設されている施設は兵器級ウランの生産能力を持ち得るものの、北朝鮮にとって最短の道とはいえない。
それはなぜか。ウラン型核兵器プルトニウム型に比べて大きく、ミサイルの弾頭に搭載できるよう小型化するのが難しいからだ。
ヘッカー氏が訪れた施設が年間あたり生産可能な兵器級ウランは爆弾1〜2個分にとどまるうえ、全面的な操業開始がいつになるかは不明だ。また、この施設は従来のプルトニウム生産施設に追加されるわけではなく、代替施設として建てられた。一方で新たに建設されている小規模な軽水炉は、兵器級プルトニウムの生産にはあまり適していない。
北朝鮮が核保有数の拡大を目指すなら、新しい軽水炉に切り替えず、既存の原子炉を再稼働する方がずっと理にかなっている。
さらに北朝鮮側は、米国との関係改善と引き換えに、プルトニウム生産能力を全面的に放棄するとの意向も示している。結局のところ、これらの施設は北朝鮮側の主張する通り、自国での原子力発電という数十年来の目標に向けた試みだとも考えられるのだ。ヘッカー氏が指摘するように、訪朝によって得られた答えもある一方で、その分だけ新たな疑問点が浮上する結果となっている。
第二に、関与政策は困難な道ではあるが、孤立化、不安定化というもう1つの道よりは望ましい。思い返せば、北朝鮮がこれらの新たな施設を獲得、建設したのは、過酷な制裁が課され、米国の関与が打ち切られていた時期のことだった。
われわれがこれらの施設のことを知ったのは、実は北朝鮮側がそれを望んだからだ。北朝鮮は事実を公開するために、米国人による非公式の訪問団を利用した。北朝鮮はかつて、ブッシュ前政権の長年にわたる孤立化政策の下でプルトニウムを生産し、兵器化して、2度の核実験まで実施した。米国側の政策変更が功を奏し、核開発凍結といった実を結んだのは、前政権が最後の2年間に入ってからだった。
一方、オバマ政権の北朝鮮政策は「戦略的忍耐」と呼ばれてきた。発足当初に打ち出した対話姿勢は、北朝鮮側に跳ねつけられた。北朝鮮外交の難しさを理解していなかったともいえる。だがたとえ反抗的な反応を返された時も、むしろそんな時こそ、諦めるべきではない。
それでは今回の事態に、米国はどう対応し得るか、またするべきなのか。答えはやはり昔と変わらない。創造的で思慮深い関与政策を忍耐強く考案し、試し続けることに尽きる。
確かに米国が対話姿勢を示せば、地域の同盟国には迷惑がられるだろう。だがこれらの国と連携し、協議しながら進めれば話は別だ。また確かに、右派からは「悪魔との取り引き」などと批判されるだろう。だが北朝鮮の長期的な脅威は、政治上の短期的なポイント稼ぎなどで台無しにしていい問題ではない。
オバマ大統領は大胆になるべきだ。対北朝鮮政策をどう進めるかについて、社会科学研究評議会(SSRC)のリー・シーガル氏が最近、いくつかのアイデアを提示している。そこにあるように、経済的なインセンティブ(動機付け)や、クリントン国務長官の訪朝といった外交手段、南北朝鮮と中国を含めた和平宣言締結などからスタートするのもいいだろう。
孫子はかつて「友は近くに、敵はより近くに」と説いた。米国の対北朝鮮政策に深くかかわる、優れた助言である。
(注)本稿に示された意見は、ポール・キャロル、ジョセフ・シリンシオーネ両氏の見解である。
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