制裁決議が無意味!? 中朝国境地帯の貿易の実態(朝鮮日報から引用)

どのように朝鮮半島は統一されるのだろうか。

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今年2月末、北朝鮮と中国の貿易が最も活発に行われる、中国遼寧省丹東市の税関前。「あらゆる機械を製作します」という看板を掲げる商店が営業していた。カーキ色のコートを着た北朝鮮の貿易商が、中国朝鮮族とみられる商店主に人民元の札束を差し出し、切断機を注文した。一方、道路の反対側にはタイヤ専門店が並び、その入り口には大型トラックのタイヤが飾られていた。昨年4月、北朝鮮弾道ミサイル発射に使われた車両のタイヤが、中国から輸入されたという話を裏付けるかのような光景だ。このほか、さまざまな化学薬品を販売する店もあちこちにあった。


 国連をはじめとする国際社会は現在、兵器に転用される恐れのある機械や化学薬品を北朝鮮に輸出することを禁止しているが、丹東ではどこ吹く風というムードだ。北朝鮮と取引している貿易商は「北朝鮮が機械や化学薬品を輸入すれば、何でも『兵器用』と決め付けるのか。国連だって北朝鮮と中国の民間貿易まで止める権限はない」と話した。午後4時30分ごろ、新義州に戻る北朝鮮のトラック約20台が税関の駐車場に集まった。3回目の核実験以降、中国が通関を厳しくするといううわさが流れたが、この日北朝鮮に戻れなかったトラックはなかった。


 北朝鮮に対する金融制裁も、ここ丹東では全く効果がない。ある朝鮮族の貿易商は「中朝貿易の基本は現金での取引と物々交換だ」と語った。丹東では北朝鮮と中国の銀行を通じた取引が行われていないため、金融制裁は意味がないというわけだ。また、北朝鮮の有力な貿易商は中国国内の銀行を利用するケースがあるという。現地の消息筋は「数百万元(100万元=約1500万円)以上の取引をしている北朝鮮の貿易商は、信用に値する朝鮮族や中国人の名義で中国国内の銀行に口座を開設し、代理人を通じて現金を引き出し決済している」と話した。丹東のある銀行には、北朝鮮当局が開設した他人名義の口座があるという。だが、中国当局がこのような口座に対し取り締まりを行ったという話は聞かれない。


 丹東市内の高級デパートとして知られる「新一百」の1階には、貴金属店やブランド時計などの売り場が並んでいる。女性店員は「ベンツやアウディに乗ってくる北朝鮮からの客が少なくない。ブランド時計はもとより、金の指輪やネックレスも買っていく」と話した。10万元(約150万円)の値札が付いたロレックスの時計も、北朝鮮からの客が買っていくという。北朝鮮の既得権を持つ勢力が、国連の制裁を避けながら、ぜいたく品を購入する方法はいくらでもあるというわけだ。


 新一百から車で10分ほどの所には、卸売業者が集まる「新柳歩行街」がある。ここでは、同じようなコートを着た北朝鮮若い女性4人がマスカラなどの化粧品の値引き交渉をしていた。北朝鮮を相手にする貿易商は「北朝鮮のどこに軽工業の工場があるというのか。(北朝鮮の人々は)生理用品から洗濯洗剤に至るまで、丹東で最も安いここの卸売業者から買っていく」と語った。また、丹東から列車で4時間かかる遼寧省瀋陽市まで行って取引をする北朝鮮の貿易商とも列車内で会った。人口800万人の瀋陽は、東北3省(遼寧吉林黒竜江)で最大の都市だ。


 鴨緑江の上流を挟み、北朝鮮の両江道恵山市と向かい合っている吉林省白山市長白朝鮮族自治県では、北朝鮮と取り引きされる品目が昼と夜では異なっているという。現地の消息筋は「昼は北朝鮮産の地下資源と中国産の生活必需品が橋を通じて取り引きされているが、夜は川岸での密貿易が盛んだ」と語った。恵山と長白の間を流れる鴨緑江の川幅は20メートル程度で、また一部地域では水深が浅く、歩いて渡ることも可能だ。北朝鮮の住民たちは、金や銀、骨董(こっとう)品などを売って人民元による収入を得ている。現在、北朝鮮では人民元を自国の通貨のように使っている。このような密貿易は統計にも表れていない。北朝鮮と中国の貿易額は、2003年には10億ドル(現在のレートで約950億円、以下同じ)だったが、昨年には60億ドル(約5700億円)まで増えた。北朝鮮の中国に対する貿易依存度は90%に迫る勢いだ。


丹東・長白・瀋陽= アン・ヨンヒョン特派員

朝鮮日報朝鮮日報日本語版
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