米上院の「財政の崖」協議、遺産税も焦点に (WSJ日本版から引用)

どうなるのか。何れにしろ一旦ドル安方向の可能性が高いのではないか。

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【ワシントン】米上院の民主・共和両党の指導部は29日も、年明けから増税と歳出削減が同時に起きる「財政の崖」を回避するための合意案の策定を目指して協議を行った。メインテーマは所得税の税率だが、脇役の遺産税も焦点に浮上した。

民主党のハリー・リード上院院内総務と共和党のミッチ・マコネル上院院内総務の側近は合意案の下地作りのために連邦議会議事堂で協議を行った。
議論は所得税の税率に集中。富裕層への税率引き上げを容認している共和党増税の対象を絞ることに力を注いでいる。

今の協議で焦点に浮上したのが遺産税だ。共和党の主要議員は遺産税の税率の現状維持を主張しているが、オバマ大統領や民主党の多数の議員は引き上げを求めている。民主党内でも意見が割れており、農業州から選出された一部の議員が共和党と同調して税率の引き下げを求めるというやっかいな事態が生じている。

協議に詳しい民主党関係者によると、大統領はこれまでに、所得税についても遺産税についても共和党に譲歩しないと述べたという。大統領が所得税減税の延長対象となる世帯の年収を25万ドルから引き上げることに合意すれば、共和党は遺産税の税率引き上げを受け入れざるを得なくなるだろう、と関係者は話している。共和党所得税減税の延長対象を40万ドル以下とするように主張している。

与野党の幹部議員の側近は29日夜まで土壇場の協議を続けた。共和党幹部の側近は「協議は続いている」とだけ話した。民主党関係者は具体的なコメントを避け、合意案のとりまとめに向けて「溝を埋めることができるか、はっきりしない」と述べた。

協議では高齢者向け医療保険制度(メディケア)による医師への支払いや失業保険給付、企業向けの税控除など年末に期限を迎えるその他の措置についても議論された。

オバマ大統領は29日の定例のラジオ演説で「議会の指導者が中間層に対する増税を回避するために議論を行っている。期限までに合意案をまとめ、上下両院で可決することができるだろうと信じている」と述べた。

珍しく土曜日に議事堂のオフィスに立ち寄ったマコネル上院院内総務はリード氏と合意できそうかとの質問に対して、「そう願っている」と答えた。

協議で暫定合意に達した場合、合意案は30日午後に民主・共和両党がそれぞれ開く党の会合に提示される。上院は同日審議を再開する。

焦点となっている遺産税は来年1月1日に35%から55%に引き上げられる予定。ほとんどの共和党議員と農業州選出の民主党議員の多くは遺産税が引き上げられれば家族経営の農場に悪影響を及ぼすとの考えから、税率の現状維持を求めている。遺産税の控除額は現在、512万ドルだが、1月1日に100万ドルに削減されることになっている。

オバマ大統領とその他の民主党議員の多くは遺産税の税率を45%、控除額を350万ドルとしたいとしている。

また、共和党議員の複数の側近は合意案がまとまっても、国防費などの歳出削減を延期することはできない可能性が高いと話している。
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