60円まで円高進行、シャープ国有化 サクソバンクの2013年大胆予測(WSJ日本版から引用)

ポジショントークなのだろうが、いろいろな見方がある。

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 来年の市場予測の季節がやって来た。ほとんどのアナリストが似たり寄ったりの予測を出す中で、デンマークに拠点を置くサクソバンクは金融市場を慌てさせかねない10項目の大胆予測をまとめた。たとえば、金に予想外の投げ売りが生じ、価格が1オンス=1200ドルまで急落するとか、原油生産の急増で、価格が1バレル=50ドルまで押し戻されるといったものだ。
サクソバンクのチーフ・エコノミスト、スティーン・ヤコブセン氏は次のように述べている。「10の大胆予測はサクソバンクによる2013年の公式予測というわけではない。しかし、来年にこのうちの1つでも日の目を見るようなことがあれば、市場に多大な影響を与え得るので、投資家にとってはかなり実際的な価値を持ち得るだろう」

 同氏はさらにこう続けた。「取引や投資を行う前に、投資家は最悪のシナリオを知っておかねばならない。資産を保護することが最も重要であり、ポートフォリオには複数の悪いことが同時に起こるパーフェクトストームはもとより、あらゆる嵐を乗り切ることが求められている」

 以下がその10項目の大胆予測である。

1.ドイツのDAX指数が33%急落して5000になる

 中国経済の減速が続き、ドイツの工業生産の拡大を妨げるだろう。こうした筋書きは消費者マインドの低下とドイツのベンチマーク指数の大半を占める工業株の大幅な下落を招くことになる。

2.日本の家電メーカーが国有化される

 韓国のメーカーとの激しい競争の結果、日本の家電産業は大きな打撃を受けた。年間の赤字額はシャープ、パナソニックソニーだけでも約2兆5000億円にもなる。信用力は低下し、日本政府は、米国政府が自動車産業を救済したように、この業界の代表的な企業を国有化せざるを得なくなるだろう。

3.大豆の価格が50%上昇する

 悪天候によるひどい不作が1年間続いたあと、新たに収穫される大豆も米国、南米、中国などでまたしても天候不良に見舞われることになる。バイオ燃料の原料としての需要増加も価格の上昇に拍車をかけ、「食料安全保障」が流行語になるだろう。

4.金が1オンス=1200ドルまで下落する

 米国の力強い景気回復が市場、特に金の投資家を驚かせることになり、この伝統的なセーフヘイブンから投資資金が流出する。これに加え、中国とインドで実需が上向かないことをきっかけに手じまい売りが促され、金の価格は1オンス=1200ドルまで落ち込むだろう。しかしその後は、世界の中央銀行がこの低価格をチャンスと捉え、購入に転じ始めるはずだ。

5.原油価格が1バレル=50ドルまで暴落する

 進んだ生産技術により米国の原油生産高は増加し続ける。米国の原油在庫はすでに過去30年で最高水準にあるが、輸出の選択肢が限られているため、原油価格はさらなる売り圧力にさらされるだろう。

6.1ドル=60円まで円高が進む

 日本の次期首相、安倍晋三氏が景気浮揚のための積極的な金融緩和策の実施を明言すると、為替は大きく円安に振れた。しかし、すべての措置が講じられず、市場のポジションが円安に過度に傾き、リスク選好が後退すれば、ドルは60円まで押し下げられることになる。円は世界最強通貨になるだろう。

7.1ユーロ=0.95フランまでスイスフランが上昇、ペッグは廃止

 イタリアの選挙やギリシャのユーロ圏離脱などで欧州連合EU)のテールリスクが悪化すると、大量の資金が再びスイスに流入する。その場合、スイス国立銀行SNB中央銀行)とスイス政府は、外為市場に介入して外貨準備高を国内総生産GDP)比100%超の水準に押し上げるよりも、ユーロへの為替レートのペッグの廃止を選ぶはずだ。その結果、スイスフランは対ユーロで最高値を更新する。

8.香港は香港ドルの米ドルに対するペッグ(1ドル=7.8香港ドル)をやめ、中国の人民元に対してペッグを始める

 人民元ボラティリティが増大し、香港は世界的な通貨センターの1つになる。

9.スペイン国債の利回りが10%に上昇し、同国はデフォルト(債務不履行)に近づく

スペインでは社会的緊張が高まっていることもあり、公共部門はこれ以上の経費削減ができない。同国のソブリン信用格付は投資不適格(ジャンク)級に下げられるだろう。するとデフォルトが不可避であることが織り込まれ、利回りは急上昇する。

10.米30年国債の利回りは2013年に倍になる

 米連邦準備制度理事会FRB)の低金利政策により、投資家は債券市場を離れ、債券投資から株式投資に切り替えざるを得なくなる。債券市場の規模は株式市場よりもずっと大きいため、債券に投資されていた資金の10%を株式に移すだけでも、株式への資金流入は30%ほど増加する。これにより米国債の利回りは高くなり、向こう10年間はパフォーマンスで株式が国債を上回ることになる。
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