自民:物価目標2%で日銀と協定、安倍カラー前面に−政権公約 (Bloomberg.co.jpから引用)

国土強靭とは、いったいどこを強靭にするのだろうか。官僚の天下り先が強靭化されても、景気回復の永続性はあまりないだろう。大都市を中心に、電車の踏切を無くしたり、計画道路を実施したり、人口が多い地域で投資すれば、長期でも経済効果も見込めるのかもしれない。

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11月21日(ブルームバーグ):自民党は21日午後、衆院選(12月4日公示、16日投開票)で掲げる政権公約を発表した。デフレ脱却へ向け2%の物価上昇率を目標とした政策協定(アコード)を政府・日銀が締結することを明記。日銀法改正にも言及するなど日銀の金融緩和を求める発言を繰り返してきた安倍晋三総裁のカラーを前面に出した格好だ。3%以上の名目成長率達成も目指す。

安倍総裁は党本部での公約発表会で会見し、デフレ脱却、円高是正については、「かつての政権時代に取っていたデフレ対策のための金融政策とは次元の違うものを実行していく、それを念頭に置きながらこの政権公約をつくった」と強調した。

安倍氏が連日のように積極的な発言を繰り返している金融政策に関して公約は、「欧米先進国並みの物価目標(2%)を政府・日銀のアコード(協定)で定めるとともに、日銀の国債管理政策への協調などにより大胆な金融緩和策を断行」と明記。その上で、「日銀法の改正も視野に、政府・日銀の連携強化の仕組みを整える」との決意を示した。

財務省と日銀、民間が参加する「官民協調外債ファンド」を創設し、基金が外債を購入することなど「様々な方策を検討する」とも明示した。

安倍総裁は円高の影響による工場閉鎖など産業空洞化について「対ドル、対ウオンに対して円高が続いている結果でもある。これはおかしい」とも指摘した。

日本経済再生本部

公約は、政権奪還後は経済政策の司令塔となる「日本経済再生本部」を内閣に設置することを打ち出した。衆院選後の新政権が直面する景気への対応については、速やかに「緊急経済対策」を断行し、「本格的大型補正予算と新年度予算とを合わせ、切れ目のない経済対策」を実行する方針も明記した。

金融市場改革に関しても言及している。国内総生産(GDP)に対する金融セクターの割合を「英国並みの10%台」に押し上げるとの目標を掲げ、外資誘致のための新たな金融特区の創設も提唱した。製造業の復活に向けた「日本経済再生・産業競争力強化法」(仮称)を制定し、革新的な研究開発への集中投資を促す政策も盛り込んだ。

財政健全化に向けては2020年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字化する目標を堅持。5年を1期とする財政健全化中期計画を策定する。消費税増税に伴う、低所得者対策としては食料品などに対する複数税率の導入を検討する方針も打ち出した。生活保護の給付水準は10%引き下げる。

国土強靭化

首都直下地震や東海、東南海・南海地震など大規模災害への備えや多軸型国土の形成のため公共事業を実施する「国土強靭(きょうじん)化」を推進する方針も盛り込んだ。甘利明政調会長は会見で、そのための予算規模について聞かれ、「具体的に提示しているわけではない。10年間200兆円という言葉が一人歩きしているが、あれは党調査会の講師の私見で真水として公共事業を圧倒的にするということではない」と説明した。

公約は、原子力発電所の再稼働については順次判断し「3年以内の結論を目指す」と指摘している。

尖閣諸島に関しては実効支配を強化するため、公務員の常駐や周辺漁業環境の整備などの方針を示した。安全保障政策での官邸の司令塔機能を強化するため、内閣に「国家安全保障会議」を設置し、防衛力を見直して予備自衛官を含む人員と予算の強化も図ることを盛り込んだ。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 広川高史 thirokawa@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Peter Hirschberg phirschberg@bloomberg.net
更新日時: 2012/11/21 18:40 JST
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