トルコ、シリア旅客機から軍事物資を発見(WSJ日本版から引用)

日中がトルコとシリアの様にならないことを願う。

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 トルコのエルドアン首相は11日、前日アンカラの空港に強制着陸させたシリアの旅客機からロシア国営兵器メーカーが発送した軍事物資が見つかったと明らかにした。これに対してトルコとの外交的対立を深めているシリアとロシアが強く反発している。

トルコが離陸を認めたシリアの旅客機A320(乗客35人)は11日早く、シリアの首都ダマスカスに着陸したが、トルコ当局者は押収した貨物の調査を続けるという。同首相は記者会見で、「これらの貨物はロシア(国営兵器メーカー)からシリア国防省向けに発送された機器と弾薬だった。トルコ当局はこれらの貨物の調査を続ける。必要なら改めて発表する」と述べた。

 会見で貨物の中身の詳細を明らかにするよう求められると、首相の報道官は「より正確に言えば、軍用機器であり、弾薬ではない」と語った。

 ヌーランド米国務省報道官は11日、米国は「旅客機を調査するトルコ政府の決定を断固支持する」とし、現時点でのシリア政権へのいかなる軍事機器の移転も非常に懸念すべきことであり、調査が終えた時点でのトルコ側からの説明を待っているところだ」と付け加えた。

 シリアもロシアもエルドアン首相の発言に直接的な反応を示していないが、両国ともトルコの行為を非難する激しい言葉遣いの声明を発表した。レバノンのアルマナル・テレビによると、シリアの情報相はトルコ政府は「ハイジャック行為」をしたと非難。国営SANA通信は、トルコ当局は「旅客機の離陸を認める前に同機のクルーに暴行を加えた」とするシリア・アラブ航空のトップ、ガイダ・アブドゥラティフ氏の発言を伝えた。トルコ当局はこの主張を否定した。

 ロシア外務省は、トルコは同機の乗客35人のうち17人がロシア人であることをロシア政府に伝えず、またロシア大使館がこれらの乗客に接触することも認めなかったと指摘した。同省の報道官は「トルコ当局に対し、ロシア人に対する振る舞いの説明と、将来このような事態が再び起きないようにすることを要求する」と述べた。

 今回の強制着陸に先立ち、トルコとシリアの間では緊張を高める一連の出来事が起きている。トルコ軍の司令官は10日、シリアからのトルコ領土内への砲撃が続けばトルコはより強力な報復措置を取ると警告した。

 アナリストは、シリア機の強制着陸はトルコ・シリア関係をさらに悪化させるとしながらも、一方でロシアとトルコの重要な商業的、戦略的関係から見て、両国の全面的な外交的危機に至る公算は小さいとしている。カーネギー国際平和財団(ブリュッセル)のシナン・ウルゲン氏(元トルコ外交官)は「この問題での情報が正確だったことにトルコは非常に満足しているようで、だからこそ機内からいくつかの禁止物資が見つかったわけで、情報が間違っていたなら、問題は大きくなっていただろう」と指摘した。また、「この面でのリスクは、シリア問題での立場の違いを棚上げにすることができたトルコとロシアの関係が大きな影響を受ける可能性があることだ」と話した。

 輸入エネルギーに大きく依存するトルコは世界最大の天然ガス供給国であるロシアと強力な商業関係にあるが、この関係はロシアが影響力の低下に神経をとがらせている地域でのトルコの勢力拡大によって複雑化している。トルコのロシアからのガス輸入が総ガス輸入の半分近くにまで膨らんでいることから、トルコにとってロシアはドイツに次ぐ2番目の貿易相手国になっている。

 ストックホルム国際平和研究所の武器取引専門家Hugh Griffiths氏は、ロシアは以前からの対シリア武器供給国で、かつては自国の軍用機やアエロフロート機で運んでいたが、干渉のリスクが高まったことからこの方法を変え、今ではシリアの民間航空機で運んでいると述べた。

 一方、ロシア政府は11日、来週のトルコ訪問を10日に延期したプーチン大統領は12月3日に日取りを改めて訪問する可能性があると明らかにした。これはロシア政府がトルコとの間の緊張をこれ以上高めたくないと考えていることを示しているようだ。

記者: Joe Parkinson、Nour Malas 、Emre Peker
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