中国で浮上する対日経済制裁論―両国経済への影響は?(WSJ日本版から引用)

引き留められないのであれば、こちらから撤退してしまうということもできる。中国に進出している企業がそれぞれ判断するのだろう。
中国の反日デモは、公安などの政府機関が後押し実行したようだ。日本では、官僚機構にたてつくと無実でも犯罪人に仕立てられたり、殺されたりすることがあるようだ。

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アジアの2大経済国である日中両国は貿易や投資で相互に結びついているため、両国の経済戦争は深刻な結果を招きかねない。両国の貿易額は総計で3450億ドル(約27兆円)に達している。
沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権をめぐる両国の争いによる経済的な影響が出始めている。中国国内の暴動によって日本の小売店や工場が閉鎖を強いられているほか、日本と関連する企業の株式は17日、日本企業が襲撃されているとの報道を受けて急落した。

 中国共産党の機関紙、人民日報の海外版の1つと、国営英字新聞チャイナデーリー(中国日報)はそれぞれ、日本への対抗措置として対日経済制裁の発動を提案する論説を掲載した。

 「仮に中国が対日経済制裁を発動すれば日本経済はひどい苦境に陥るが、中国側の損失は比較的少ない」と、中国商務省系列のシンクタンクに勤めるアナリスト、ジン・バイソン氏はチャイナデーリーの中で述べている。見出しには「対日経済制裁を視野に」とある。

 しかし経済制裁でどちらがより打撃を受けるかについては議論の余地がある。両国とも苦しむのは間違いない。中国は日本の投資資本や技術に大きく依存してきた。また日本は中国にとって米国、欧州(EU)に次いで3番目に大きい輸出相手国だ(ほとんど輸送拠点として機能する香港は除外)。日本は企業の利益という形で中国への投資から恩恵を受ける。そして中国は重機やハイテク機器といった日本の高価な輸出品の最大の市場だ。

 さらに、日中の貿易戦争による影響は日中両国だけにとどまらないだろう。タブレット端末「iPadアイパッド)」から自動車に至るあらゆる製品のサプライチェーンは、日本と中国の間を部品や素材が滞りなく往来していることに依存しているからだ。米国、韓国、マレーシア、ドイツ、そしてタイの企業は今、日中経済関係の真ん中に存在しているのだ。

 日中の経済関係を数字で振り返ってみよう。

■貿易

中国の場合

 米国に次いで、日本は中国にとって2番目に大きい貿易相手国だ。2011年には日中間の財貿易額が総計3450億ドルに達した。これは中国全体の貿易額の9%に相当し、ブラジル、インド、ロシア、南アフリカを指すいわゆるBrics(ブリックス)と英国を足した額よりも大きい。

日本の場合

 中国は日本最大の貿易相手国だ。しかもダントツに大きい。対中貿易額は2011年、日本全体の貿易額の21%を占めた。次に規模が大きいのは米国で12%、続いて韓国の6%だ。 (出典:グローバル・トレード・アトラス、日本貿易振興機構

■投資

中国の場合

 日本から中国への直接投資額は2011年に63億ドルを計上した。これは情報・データサービスのCEICが中国政府の統計を基にまとめたもので、1996年以降の累計は690億ドルとなっている。日本政府の統計ではさらに数字が大きくなり、2011年は120億ドル、1996年以降の累計では830億ドルとなっている。

日本の場合

 中国から日本への直接投資はほとんどない。日本政府の統計によると、2011年末までの累計で中国からの直接投資は5億6000万ドルだ。ちなみに米国からの直接投資は700億ドルで、EUからは940億ドルとなっている。(出典:日本貿易振興機構、CEIC)

■旅行&観光

中国の場合

 中国は2011年、365万人を超える日本人が訪中し、日本人最大の渡航先だった。10年前と比べて50%の伸びだ。ただ、2007年につけたピークの397万人からは減っている。

日本の場合

 2009年のピーク時には日本を訪れる中国人は観光・ビジネスを合わせて140万人だった。2011年には100万人へ減少した。この原因について昨年3月の大地震原発事故に加え日中間の緊張の高まりと円高とみるアナリストもいる。しかし、今年は再び増加傾向にあるようだ。年初から7月までに日本を訪れた中国人は2011年比72%増の95万人に達した。(出典:中国国家観光局、国際観光振興機構JTB総合研究所)

記者: Alex Frangos
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