米FRBが新たな対策を模索、政策ツール出尽くし(REUTERSから引用)

これはいったん、極まらないと、逆方向に走れない。来年にはアメリカの金利上昇となるか。

引用開始
[ワシントン/ニューヨーク 24日 ロイター] 今月公表された6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、連邦準備理事会(FRB)が景気支援に向けた新たなツールを模索していることが明らかになった。

投資家は、金融危機時に従来型の金融政策の枠を超えて一連の非標準的措置を打ち出したバーナンキ議長が、どういった対策を用意しているのかについて手がかりを得ようとしている。

その有力候補に現在2つの主な選択肢が浮上している。1つは、イングランド銀行(英中央銀行)が最近打ち出した融資促進策に倣って、積極的に融資を行う銀行を優遇し、経済の特定の分野への融資拡大を促すこと。もう1つは、現行0.25%となっている準備預金金利の引き下げだ。

FRBが新たな対策を模索している背景には、量的緩和第2弾(QE2)に対する国内外からのネガティブな反応がある。

FRBは依然としてQE3を選択肢として検討しており、一部のアナリストは最近の米経済の弱さを受けて早ければ9月にも、そうしたプログラムが導入される可能性があるとの見方を示している。

しかし、米経済への政策効果は薄れており、政策当局者は他にどのような対策を講じることができるかをすでに検討し始めている。

ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメント・グループのチーフ・ポートフォリオ・ストラテジスト、ブライアン・ヤコブセン氏は「融資促進策は、何の条件もなくただ証券を買い入れるよりも賢明なアプローチかもしれない」と指摘した。

ロイターがプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)を対象に実施した最近の調査によると、70%が債券買い入れを通じた追加緩和を予想している。ただ、米国債利回りは過去最低水準、あるいはその水準付近にあり、債券の追加買い入れが効果をもたらすかは疑わしい。
次回7月31日─8月1日のFOMCでは、目立った措置はほとんど取られないとみられており、一部のエコノミストFRBが2014年終盤までとしている超低金利政策の時間軸を延長する可能性を指摘している。

<新たな対策>

バーナンキ議長は6月のFOMC後の記者会見で、英中銀の融資促進策について聞かれ、「われわれは危機の間中、景気を支援する新たなプログラム、新たな手段を模索してきた。(融資促進策は)われわれが検討するプログラムのリストに含まれるだろう」と述べ、前向きな姿勢を示した。

融資促進策はまだ詳細に欠けるが、FRBはプライマリーディーラーから受け取る担保を調整し、支援を必要としている経済分野への融資を促す可能性がある。

1つのアプローチとしてFRBは、プライマリーディーラーが例えば小規模企業への融資を行うことを条件に、期限が長めの担保を受け入れる可能性がある。

また別のアプローチでは、モーゲージ担保証券(MBS)の需要と、融資を受けるのが困難な住宅購入者への融資を促進するため、特定の住宅ローンを担保として受け入れることが考えられる。

ただ、一部のエコノミストは実際の問題が信用供与の不足ではなく、新規融資の需要欠如であった場合、そうした措置が効果的かどうかは疑問だと指摘している。

また、米銀行システムは英国よりも健全とみられており、融資促進策がそれほど適切ではない可能性もある。
JPモルガンのチーフ米国エコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「英銀は、調達コストや利用できる調達手段などの問題に直面している」と指摘。「預金とホールセール調達がともに低コストで十分な米国ではそうしたことはそれほど大きな問題ではないようだ」と語った。

もう1つの選択肢として再浮上している対策は、準備預金金利を現行の0.25%からゼロ、あるいはマイナスにまで引き下げることだ。

だが準備預金金利の引き下げは、すでにリターン保証モデルが超低金利によって圧迫されているマネーマーケットが反対している。FRB当局者は、マネーマーケットが欧州金融危機による影響を受けやすい主な市場とみており、マネーマーケットが崩壊し、金融システムの他の分野に影響が波及する可能性を懸念している。

準備預金金利を引き下げても、そのような控えめな措置ではそれほど大きな効果は見込めないとの見方もある。

(Pedro da Costa/Jonathan Spicer記者;翻訳 佐藤久仁子;編集 田中志保)
引用終了