米国債:5年債利回りは過去最低−スペインへの不安強まる (Bloomberg.co.jpから引用)

ある通貨が無くなっても、その通貨を使っていた人がいなくなるわけじゃない。ひと時の混乱があっても、世界は回り続ける。
日銀は、無理に紙幣を増発せず、ドルやユールとのバランスを取りつつ、上手く円を誘導しているのではないか。

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7月20日ブルームバーグ):米国債相場は上昇。5年債利回りは過去最低を付けた。スペインの銀行救済が最終承認を得た後、同国は景気後退(リセッション)が来年も続くとの見通しを示した。これを受けて米国債の安全性を求める動きが強まった。

10年債利回りは過去最低付近で推移。スペインでは17の自治州の一つ、バレンシア中央政府に対する救済申請を準備している。ユーロ圏諸国の財務相らはこの日、1000億ユーロ規模のスペインの銀行救済を最終承認した。欧州債市場では、ドイツ10年債に対するスペイン10年債の利回り上乗せ幅(スプレッド)が拡大し、過去最大となった。またドイツ国債に対するイタリア国債のスプレッドは1月以降で最大の幅となった。

ウィリアムズ・キャピタル・グループの債券取引責任者、デビッド・コード氏(ニューヨーク在勤)は「依然として、米国債市場は安全な逃避先だと誰もが考えている」と指摘。利回りは「さらに低下することもあり得る。要因は欧州情勢だ。欧州をめぐる不安ということだ」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時7分現在、5年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し0.57%。一時0.5684%と、16日に付けたそれまでの過去最低0.577%を下回った。10年債利回りは5bp下げて1.46%。一時1.4449%を付けた。過去最低は6月1日に付けた1.4387%。

2年債利回りはほぼ変わらずの0.21%。一時0.2015%と、昨年9月23日以来の低水準となった。

欧州不安

連邦準備制度理事会FRB)のエコノミストが開発した金融モデルに基づくタームプレミアム(期間に伴う上乗せ利回り)はマイナス0.9652%と、米国債が最も割高な水準付近にあることを示している。過去最低は6月1日に付けた0.9772%。

CRTキャピタル・グループ(コネティカット州スタンフォード)の国債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「欧州をめぐる不安だ。特にスペインに関するニュースが懸念されている」とし、「銀行救済パッケージは承認されたが、今度は国内の一部地域が中央政府に支援を要請する準備をしているという。これが新たな懸念を生み出し、米国債買いにつながった」と述べた。

バンク・オブ・アメリカBOAメリルリンチの指数によれば、米国債のリターンは前日までの3カ月で2.5%。一方、株式のMSCIオールカントリー世界指数のリターンは、配当金の再投資を含めてマイナス2.1%。

クレジット・デフォルト・スワップCDS)市場では、スペイン債の保証コストが5日連続で上昇。19bp上げて598bpと、6月18日に付けた過去最高(624bp)に近づいている。外国為替市場では、ユーロが対円で2000年以来の安値、対ドルでは2年ぶり安値をそれぞれ付けた。

安全求める動き

ユーロは対円で一時1.2%安の1ユーロ=95円35銭と2000年11月以来の円高・ユーロ安水準となった。対ドルでは一時1.1%値下がりし1ユーロ=1.2144ドルと、2010年6月以来の安値。

ユナイテッド・ネーションズ・フェデラル・クレジット・ユニオン(ニューヨーク)の最高投資責任者(CIO)、クリストファー・サリバン氏は「継続中の債務問題が影響しているようだ」とし、「それが米国への逃避の流れを強めている」と述べた。

原題:Treasury 5-Year Yields Fall to Record on Spain’s DebtCrisis(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Susanne Walker swalker33@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Dave Liedtka dliedtka@bloomberg.net
更新日時: 2012/07/21 06:33 JST
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