人民元・日本円の直接交換は相互利益になる(人民網日本版から引用)

昨年に日本の財務官が北京へ常駐するようになってから、いろいろと進みだしている。これは、日本の貴族階級だけではなく、アメリカの多極主義者も同意しているのだろう。

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中国と日本の財政金融当局は29日、6月1日から上海と東京の取引市場で人民元と日本円との直接交換をスタートすることを明らかにした。このことは、日本円が米ドルを除いて初めて人民元との直接交換が可能な主要通貨になったことを意味する。あるアナリストによると、今回の措置は中日双方にとって相互利益になるものだという。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。

 日本の財務省安住淳大臣は同日にこの情報を明らかにした際、次のように述べた。日本円と人民元とが第三の通貨を介さずに直接交換できるということは、取引コストと金融機関の決済リスクとを軽減するのにプラスであり、日本円と人民元の利便性を向上させ、東京金融市場の活力を増強する上でもプラスになる。

 専門家や業界関係者の指摘によると、今回の措置は中日間の貿易・投資活動を拡大深化させ、両国の金融界に新たな業務の成長点を提供する上でプラスになるだけでなく、人民元が国際化に向けて踏み出す重要な一歩でもあり、中日両国の通貨の国際的な地位を高めることになるのは確実だという。

 人民元と日本円との直接交換の実現は、第一に両国企業にとって福音だ。日本貿易振興機構ジェトロ)がまとめた統計によると、2011年の中日貿易額は3450億ドルで過去最高を記録し、中国は3年連続で日本にとって1番目の貿易パートナー国となり、日本は中国にとって4番目の貿易パートナー国となった。だが中日間の膨大な貿易取引は、現在は基本的に米ドルを媒介通貨として決済されているため、両国企業の取引決済コストが増大するばかりでなく、苦心して手に入れた利益がコントロール不可能な米ドルの為替リスクの下にさらされることを余儀なくされている。
アジア開発銀行研究院が提供したデータによると、11年に人民元建て決済によって行われた中国の対日輸出は輸出全体の0.3%を占め、同対日輸入は輸入全体の1.7%を占めた。日本円建て決済によって行われた中日貿易の割合はやや高いが、09年の中国の対日輸出をみても18%にとどまっている。

 同研究院のケイ予青エコノミスト(博士)は取材に応える中で次のように指摘した。中国と日本は世界2位と3位の経済体であり、中日間の貿易量はアジアだけでなく世界の貿易に大きな影響を与える重要な位置づけにある。それにもかかわらず両国はこれまでずっと第三の通貨を利用して貿易決済を行ってきたし、現在は米ドルの不安定性が増大している。こうした事実はそれほど正常な現象とはいえない。中日の通貨の直接交換が実現すれば、企業の取引コストや為替リスクが軽減されるだけでなく、人民元を受け入れ、使用し、保有することへの日本企業の意欲が一層高まることになる。

 欧州債務危機の衝撃が相次ぐ中にあって、現在の世界金融市場は低迷を続け、各国の金融業界は危機回避を求めると同時に、新たな市場の成長点を発掘しようと力を入れている。人民元と日本円との直接交換が中日の金融に巨大な成長の可能性をもたらすことは間違いない。とりわけ日本の金融機関と東京金融市場に巨大な成長の可能性をもたらすことは確実だ。

 日本のみずほコーポレート銀行中国営業推進部の鈴木宏司部長によると、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほコーポレート銀行みずほ銀行は、6月1日から日本国内で人民元と日本円との直接交換業務をスタートする。コーポレート銀の中国現地法人も中国での新業務展開に向けて積極的に準備を進めているという。
鈴木部長は市場の見通しについて述べる中で、日本企業の人民元建て決済量は増加し続ける勢いにあり、今後はこの決済業務の量が拡大を続ける見通しだ。みずほは日本円と人民元の直接交換市場に積極的に参加し、この市場の継続的発展を後押ししていく。また顧客の需要に応じて、日本での人民元建て預金・貸出業務や人民元建て先物為替取引といった関連業務を引き続き展開していく、と述べた。

 中日金融市場に詳しい日本の大和総合研究所の金森俊樹エコノミストは書面での取材に応える中で次のように指摘した。人民元・日本円の直接交換および先に日本政府が承認を受けた中国国債の購入は、中日の財政金融協力における2つの大きな措置であり、東京のオフショア人民元市場の育成にとってもプラスになるものだ。中国は日本にとって最大の貿易パートナーであり、日中の経済貿易往来がますます密になっていることを考えると、ロンドンよりも東京の方がオフショア人民元市場を受け入れる力と潜在力をより多く秘めているといえる。

 前出のケイ予青エコノミストも次のように話す。人民元と日本円との直接交換が実現することは、人民元が国際化に向けて歩み出した重要な一歩とみなすことができる。また日本円や人民元を含むアジア諸国の通貨のグローバル経済・貿易に占める地位が向上することにつながる。米ドルやユーロの不安定性が強まっている今日において、日中が通貨協力を深めることは、世界の通貨システムに大きな影響を及ぼすことであり、アジアの経済体がグローバル経済の中で影響力や発言権を高めていく上でプラスになることだといえる。(編集KS)

 *ケイ:「おおざと」に「形」の旁

 「人民網日本語版」2012年5月30日
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