EU首脳:ユーロ共同債で対立−ギリシャには緊縮継続求める(Bloomberg.co.jpから引用)

言いたいことを言い合う会議。各国自己主張はしたので、これからどんどんすり合わされていくのだろう。

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5月24日(ブルームバーグ):欧州連合(EU)首脳は23日ブリュッセルで開いた緊急会議で、ユーロ共同債構想をめぐって激しく対立した。ギリシャに対しては、ユーロ圏残留の条件である財政緊縮を継続するよう求めた。リセッション(景気後退)に苦しむスペインに関しては緊急救済策を見送った。

欧州危機が始まって2年余りの間で18回目となる首脳会議では、ドイツ主導の緊縮財政を通じた危機対策に対し、フランスのオランド大統領が異を唱えた。ドイツが進めてきた対策はユーロ圏の安定化につながらず、ギリシャのユーロ離脱懸念をもたらしている。

ルクセンブルクのユンケル首相は、6時間にわたった首脳会議が終了した24日未明、記者団に対し、首脳会議でユーロ共同債発行の可能性に関する議論が「盛り上がらなかったわけではない」とした上で、ユーロ共同債に対しては「特にドイツ語圏の国からあまり支持が得られなかったが、フランス語圏地域からは一定の熱心な支持があった」と述べた。

日本時間午前10時15分現在、S&P500種指数先物は0.2%安。独仏の対立で解決策を見いだすのが一段と難しくなるとの懸念から、23日の為替市場ではユーロがドルに対し1年10カ月ぶりの低水準に下落。欧州株もこの1カ月で最大の下げとなった。投資家が資金を安全な投資先に避難させたことから、ドイツの5、10、30年債の利回りはいずれも過去最低水準を付けた。

次回首脳会議

EU首脳らは、6月28、29両日の次回首脳会議までにユーロ圏の統合強化に向けた概念の「基本的枠組み」策定をファンロンパイEU大統領に委ねた。次回サミットに先立ち、ギリシャのユーロ離脱につながり得る同国の再選挙が17日に実施される。

今年のEU機構見直しは、2つの欧州救済基金の設置や、競争力向上のためのユーロプラス協定、経済政策協調のための欧州セメスターなどの施策に続くものとなる。

ファンロンパイ大統領は、今回の首脳会議では「銀行の監視強化と整理の構想は言及されただけで、実際の議論は行われなかった」と述べた。

同会議では、ユーロ共同債に批判が集中。ドイツやフィンランドなど最上級格付け国は、同債により自国の利払いが増える上に、高債務国が今後も歳出を続ける誘因となると主張している。

メルケル首相は共同債構想を受け入れることは「極めて困難だ」と指摘した。一方、オランド大統領は共同債への支持を表明、独仏首脳が危機対応で一枚岩でなくなったことが鮮明になった。

「一人ではない」

オランド大統領は、共同債に対し「全く敵対視する国や将来は可能だとみる国があり、中にはずっと早期の導入を考える国もあった」とした上で、「私は一人ではない」と語った。

首脳らはギリシャ向け声明で、「われわれは同国が公約を尊重し、ユーロ圏にとどまることを望む」とした上で、「再選挙後に発足する新政権がこうした選択をすると期待する」と表明した。

今回の首脳会議の議論は成長促進策に重点が置かれ、ギリシャ問題は会議の最後に取り上げられた。当局者1人によると、スペインの問題は論じられなかった。

ラホイ首相の訴え

スペインのラホイ首相は首脳会議終了後に、ドイツなどの反対に直面しお蔵入りとなった欧州中央銀行(ECB)による債券購入プログラムの再開を訴えた。ECBは危機で大きな打撃を受けた国の国債利回り抑制のため、2120億ユーロ(約21兆2000億円)を投じて債券を購入してきた。

同首相は「ECBが過去に下したことがあるこの決定を行うかどうかはECB次第だ」と発言。「この問題は現在、非常に重要であり、EUの将来設計よりはるかに重大だ」と指摘した。

ドラギECB総裁は、会議中にラホイ首相からこうした訴えがあったかとの質問に対し、「訴えはなかった。流動性を他の供給源から提供することも可能だ」と述べた。

原題:European Chiefs Clash on Euro Bonds as Crisis Summit BogsDown(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ブリュッセル James G. Neuger jneuger@bloomberg.net;ブリュッセル Josiane Kremer jkremer4@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:James Hertling jhertling@bloomberg.net
更新日時: 2012/05/24 12:31 JST
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